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映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「ヘイル、シーザー!」

「ヘイル、シーザー!」
@TOHOシネマズシャンテにて。5月16日(月)午後12時25分より鑑賞。

ウディ・アレンの映画はすぐにわかる。ノスタルジックなジャズの音色、昔風のオープニングタイトル。その冒頭部分だけで判断がつく。

そこまで強烈ではないが、コーエン兄弟の映画もかなり個性的だ。いろんな映画を撮ってはいるが、どれもコーエン印のハンコがバンと押されているような気がする。言葉を変えればアクが強いといえようか。それゆえ好き嫌いはけっこう分かれるようだ。

まあ、オレは個性的な監督の作品は好きなほうだし、コーエン兄弟の『バートン・フィンク』『未来は今』『ファーゴ』『ビッグ・リボウスキ』『オー・ブラザー!』『ノー・カントリー』『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』など、どれも面白い映画だとは思うのだが、だからといって特に大ファンというほどでもない。それでも新作が公開されるとつい観に行ってしまう。これって、コーエン兄弟の魔手にやられてるってことかもしれませんなぁ。

というわけで本日鑑賞したのは、『ヘイル、シーザー!』。ハリウッド黄金時代の大騒動をコーエン節全開で描いた作品だ。

時代は1950年代。主人公は映画会社の「何でも屋」(一応、偉い肩書きはついてますが)のエディ。スターのトラブルを解決したり、監督をなだめすかしたりと、大忙しの毎日。そんな中、古代ローマを描く歴史大作映画『ヘイル、シーザー!』の主演俳優のウィットロックが誘拐され、エディは解決に乗り出す……というお話。

誘拐事件の顛末が中心ではあるものの、それ以外にも様々なエピソードがテンコ盛り。人魚姫を演じるセクシー女優の妊娠騒動や、大根役者の若手俳優に愛想をつかす有名監督などなど。そこに双子の女性ゴシップ記者が絡んだり、主人公のエディ自身にもロッキード社からの引き抜き話が舞い込んだりと上を下への大騒ぎである。

たくさんのエピソードを盛り込んでいるから、本筋の誘拐事件の影が薄いのも当然。事件の展開も穴だらけだ。ついでに言えば、誘拐事件の背後には共産主義者たちがいるのも微妙。ビキニ環礁の水爆実験云々の話が出てくるが、その頃ってもう赤狩りが活発化してたのでは? なんかそういう雰囲気が全然ないんですけど。

と細かいことを言えばキリがない。それでも、そういうところに目をつぶっちゃえば、それなりに楽しめてしまうから困ったものである。特に面白いのが、ハリウッド黄金時代の再現シーン。ツウな映画ファンならずとも「ああいう俳優や監督いたよなぁ~」と思わずニヤリとしてしまいそうなシーンが満載。

登場する劇中劇も本格的だ。『ヘイル、シーザー!』だけでなく、人魚姫がシンクロナイズド・スイミングチームと水中で舞ったり、水夫たちがバーで歌い踊ったりと、どれも見事な出来栄え。うすらバカなオレにはすぐにタイトルが思い浮かばないが、確かに昔のハリウッド映画には、ああいう作品があったわい。

もちろんいつものコーエン兄弟らしいシ二カルな笑いもたっぷりなのだが、こっちはあんまり笑えないかな。イマイチ不発な笑いが目立つ感じ。それでも、役者たちが喜々として演じているので、そのへんは楽しめますね。

何でも屋役のジョジュ・ブローリン、スター俳優役のジョージ・クルーニー、大根役者のオールデン・エアエンライク、有名監督役のレイフ・ファインズ、セクシー女優役のスカーレット・ヨハンソン、謎のベテラン編集者役のフランシス・マクドーマンド、双子のゴシップ記者役のティルダ・スウィントン、ミュージカルスター役のチャニング・テイタムなど、どれも存在感たっぷりですから。

観終わって感じたのは、「昔のハリウッドって、こんなにどうしようもないところだけど、それでも愛すべき存在だったよね」というコーエン兄弟の苦笑。単なるハリウッド万歳映画になっていないところが、いかにもコーエン兄弟らしい。

けっして傑作ではないし、欠点もいっぱいあるのだが、それでも楽しい映画なのは確か。というわけで、オレはきっと次のコーエン兄弟の映画も観に行ってしまうのだろう。なんだかちょっと悔しいけれど。

今日の教訓。TOHOシネマズシャンテの4階は見やすい劇場だといつも思う。

●今日の映画代1,400円(しっかりムビチケを前もって購入しときました。貧乏人の知恵です)