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映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「マグニフィセント・セブン」

「マグニフィセント・セブン」
ユナイテッド・シネマとしまえんにて。2017年1月27日(金)午後12時45分より鑑賞

黒澤明監督が日本映画史を代表する巨匠であることは、誰もが認めるところだろう。だが、オレは晩年の映画はどうにも好きになれない。形式美ばかりが先に立って、ドラマの中身が伴っていない感じがするのだ。

その代わり初期から中期にかけては、文句なしに面白い映画が並ぶ。「七人の侍」(1954)もその1本だ。戦国時代の農村を舞台に、野武士たちに苦しめられる農民たちに雇われた7人の浪人を描いた作品。世界的にも高く評価され、この作品を翻案したジョン・スタージェス監督の西部劇「荒野の七人」(1960)も登場した。

この「七人の侍」「荒野の七人」を原案にした(というか「荒野の七人」のリメイクといったほうが適切かもしれないが)新たな西部劇が公開された。「トレーニング・デイ」「イコライザー」に続いて、アントワーン・フークア監督とデンゼル・ワシントンがコンビを組んだ「マグニフィセント・セブン」(THE MAGNIFICENT SEVEN)(2016年 アメリカ)である。

西部開拓時代の小さな町。冷酷な悪徳実業家バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)が町の資源を独占しようと、横暴の限りを尽くしていた。そんな中、ボーグに夫を殺されたエマ(ヘイリー・ベネット)は、町の全財産を差し出してサム(デンゼル・ワシントン)と名乗る賞金稼ぎの男を雇い、町を救ってほしいと依頼する。サムは、ギャンブラー、流れ者、ガンの達人など7人のアウトローを集めて、ボーグ率いる悪党軍団に無謀とも思える戦いを挑んでいく……。

話の大枠は「七人の侍」や「荒野の七人」と同じだが、興味を失うことはない。いろいろと細かな工夫をして、最後まで飽きずに楽しめる映画に仕上げている。

まず目を引くのがボーグの悪党ぶりだ。なにせアウトローVS悪党の戦いなので、悪党を徹底して悪く見せないといけないわけだ。その点、ピーター・サースガード演じるボーグは、まさに憎たらしいぐらいの悪党である。町の教会で、子供の手を瓶の中に突っ込ませるシーンなどは背筋ゾクゾクものの怖さだ。

そして、彼と対決する7人の男たちのキャラも立っている。賞金稼ぎのサムは、何だかいろんな肩書きを並べ立てて、いわくありげな人物。銃の名手のグッドナイトも、心に傷を抱えている。その他にも、ギャンブラー、流れ者、謎のアジア人、はては先住民までが仲間に加わる。拳銃、斧、ナイフ、弓矢などそれぞれ得意な武器があるのも面白いところだ。

それらを演じるのは、デンゼル・ワシントンクリス・プラットイーサン・ホークヴィンセント・ドノフリオイ・ビョンホン、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、マーティン・センスマイヤーという個性豊かな俳優。彼らの競演を見ているだけでも楽しくなる。

もちろん西部劇だけに、最大の見せ場はアクションにある。最初は町に着いたばかりの7人が、ボーグの一派を駆逐するシーン。20数人をド派手なバトルで次々に倒すシーンは迫力満点。

その後、アウトローたちは決戦に備えて町の人々を訓練する。だが、これが揃いも揃ってヘタレなのだ。そこから笑いも生まれてくる。そんな中、サムを雇ったエマは銃を手に孤軍奮闘する。その勇ましい姿が後で生きてくる。演じるヘイリー・ベネットもなかなかの女っぷりだ。

そしてクライマックスは、いよいよボーグ本人と彼が率いる200人の大軍団との戦いだ。ここでは炭鉱が近いこともあって、ダイナマイトも炸裂する。サムたちが仕掛けた巧妙な仕掛けが、次々に敵をやっつける。アウトローたちが操る銃やナイフ、弓矢などの武器も縦横無尽に活躍する。

だが、簡単に勝利は手に入らない。アウトローたちを苦しめるのが、ボーグ軍団の秘密兵器のガトリン銃だ。その破格の威力にサムたちは窮地に追い詰められる。はたして、その運命は……。

七人の侍」や「荒野の七人」と同様に、激しい戦いの中でアウトローは、1人、また1人と死んでいく。しかし、ただ無残に殺されるのではない。そこで各人には見せ場がたっぷり用意される。

ラストはボーグによって焼かれた教会での対決。そこでサムを救うのはあの女性。ここもなかなかの見せ場である。

あえて気になるところを言えば、「最初は金目当てで雇われたはずのサムだが、実はその裏には……」というのが本来の筋書きらしいのに、デンゼル・ワシントンのいい人キャラのおかげで、訳ありなのが初めから見え見えなこと。実際に、ラストにはこの戦いが彼にとって、特別な意味を持っていたことが明かされるわけだ。

まあ、しかし、そのあたりは目くじら立てなくてもいいだろう。けれん味タップリの娯楽活劇で、観応えは十分。たいていの人なら、難しいことを考えずに楽しめそうだ。

●今日の映画代、1000円。毎週金曜日はユナイテッド・シネマの会員サービスデー。