映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「第30回東京国際映画祭」その1

「第30回東京国際映画祭」その1

今年も東京国際映画祭が始まった。この間、オレは連日映画を観倒すのである。

なに? よくそんなお金と時間があるな、ですと?

いやいや。実のところ全部無料で鑑賞するのである。一般の人は良く知らないと思うが、映画祭ではプレスと関係者向けの無料上映が行われており、オレが所属する某放送関係の団体にも入場可能なパスが何枚か支給される。ありがたいことに、皆さまのご厚意でオレもそのパスがもらえるのである。

これぞまさに無上の喜び。映画好きにとっては、馬の鼻先に人参をぶら下げられたような状態だ。当然、ホイホイとついていく。そのためにだいぶ前から仕事もやりくりして、映画祭期間中はできるだけ時間を空けてある。さぁ、行くぜ!

というわけで、さっそく本日から会場の六本木ヒルズへ足を運んだ。鑑賞したのは4本。1本ずつ詳しいレビューを書きたいところだが、映画を観倒すので精いっぱいで、とてもその時間がない。睡眠時間を確保するのがやっとだ。なので、とりあえずほんのひと言だけ感想を書いておく。

・「キリスト」(CROSSCUT ASIA部門)
~闘鶏で稼いだ金で妻子を養う男の悲劇を描くフィリピン映画。家族を大切にしながらも、危険と隣り合わせの仕事から足を洗えない主人公の苦悩が、ドキュメンタリータッチの映像で綴られる。あまりにもあっけないラストが何とも切ない。

・「シップ・イン・ア・ルーム」(コンペティション部門)
ブルガリア映画。カメラマンの男が、偶然知り合った女と、その弟と共同生活を始める。引きこもりの弟の心をほぐすため、男が外の世界で撮影した映像を見せる設定が秀逸。映像の持つ圧倒的な力と、傷ついた人々への優しいまなざしが伝わる作品。

・「ペット安楽死請負人」(コンペティション部門)
フィンランド映画。動物の安楽死を請け負う男を描いたハードボイルド。主人公が、ある犬を助けたことから意外な方向に運命が転がる展開が面白い。人間という存在の複雑さを改めて痛感する作品。主演のマッティ・オンニスマーの存在感が圧倒的。

・「隣人たち」(ワールド・フォーカス部門)
イスラエル映画イスラエル人である主人公が、仕事場の改装をアラブ人青年に依頼したことから起きる騒動。少女暴行事件をきっかけに露わになるアラブ人に対する憎悪には戦慄さえ覚えるが、シリアスになりすぎず、全体をユーモアに包んだ作風が素晴らしい。

どれもユニークで、観応えのある作品ばかりだった。

さぁ~、明日以降はどんな素晴らしい映画に出会えるのだろうか。

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