映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

2018年ベスト映画

遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

実のところ、年末年始はインターネット環境のないところにいたため、ブログも更新できなかったのである。おまけに、映画館に行ける状況でもなかったので、映画レビューのネタにも事欠く始末。なので、本日はこれにて失礼!

いやいや。それでは、さすがに手抜き過ぎだろう。というわけで、今回は昨年観た映画のベストを発表しようと思う。正直なところ、映画に順位などつけるのは無粋で無茶なことだと思うのだが、あくまでも座興ということで・・・。

1. 「菊とギロチン
2. 「スリー・ビルボード
3. 「生きてるだけで、愛。」
4. 「きみの鳥はうたえる
5. 「レディ・バード
6. 「万引き家族
7. 「鈴木家の嘘」
8. 「愛しのアイリーン
9. 「ビューティフル・デイ
10. 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない

ついでに、それ以外で上位にランクされるのは、「止められるか、俺たちを」「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」「1987、ある闘いの真実」「焼肉ドラゴン」「孤狼の血」「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」「タクシー運転手 約束は海を越えて」「女は二度決断する」「シェイプ・オブ・ウォーター」「犬猿」あたりだろうか。

上記の作品名を見て「ボヘミアン・ラプソディ」も「カメラを止めるな!」も入っていないじゃないか、と怪訝に思うかもしれないが、まあ、そんなものです。これ以外の映画がつまらなかったわけではない。「何度でも見返したい映画」という基準で判断したら、そうなってしまっただけの話。当然ながら見逃した映画も多いので、そのあたりもご容赦を。いずれにしても、いわゆるメジャー作品がほとんど入っていないのがオレらしいところかもしれない。

以下に、簡単に各作品のコメントを。
1. 「菊とギロチン
瀬々敬久監督の構想30年(だっけ?)の渾身の青春群像劇。凄まじいパワーに満ち満ちている。スタッフ、キャストの熱い思いがダイレクトに伝わって心を揺さぶられた。大正時代の話だが、確実に今につながっている。

2. 「スリー・ビルボード
~娘を殺された母親を中心に、様々な人物の内面を描写する手腕が出色。アメリカの現状を背景に、数多くの要素を詰め込んでいるのに窮屈さがまったくない。脚本、演出、演技ともに一級品。

3. 「生きてるだけで、愛。」
~不器用で生きづらさを抱えた現代の若者たちをリアルに描き出した秀作。一見、エキセントリックに見える主人公の言動だが、そこには多くの人々と共鳴するものがある。主演の趣里の演技が素晴らしい。

4. 「きみの鳥はうたえる
~3人の若者のいとおしく切ないひと夏の出来事を描いた青春ストーリー。青春のきらめきと終焉をスクリーンの中に巧みに刻み込んでいる。柄本佑石橋静河染谷将太の演技も印象深い。

5. 「レディ・バード
~揺れ動く少女の日常を、テンポよく、生き生きと描いたグレタ・ガーウィグ監督の演出が光る。シアーシャ・ローナンのヴィヴィッドな演技も魅力。等身大の主人公が観客の共感を呼ぶはず。

6. 「万引き家族
~日本社会の現状を背景に、家族とは何かを問う。是枝裕和監督の集大成的な作品。すべてにおいて完成度が高い。シビアな側面もある映画だが、全体を包む温かく、優しい空気感が心地よい。

7. 「鈴木家の嘘」
~長男の自殺というシリアスな話を、笑いにまぶして描くところが面白い。それを通して家族の実像に迫るさじ加減が絶妙。「菊とギロチン」で主演を務めた木竜麻生の演技は、ここでも特筆もの。

8. 「愛しのアイリーン
~ダメ人間たちの破天荒な行状が渇いた笑いを生み出すと同時に、単純な善悪を越えた人間存在の複雑さをあぶりだす。吉田恵輔監督らしい作品。安田顕はじめキャストの怪演ぶりも見もの。

9. 「ビューティフル・デイ
~絶望を生きる男と心が壊れた少女の魂の共鳴を、リン・ラムジー監督が鮮烈かつ美しく描き出す。無駄なシーンがまったくなく、想像力を刺激され続けた。ホアキン・フェニックスの演技もさすが。

10. 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない
~吃音と音痴。それぞれにコンプレックスを抱えた少女の輝きと心の叫びが、瑞々しく描き出されている。光を効果的に使った映像、2人の若手女優の自然体の演など、どれをとっても一級品の青春映画。

と10作品を振り返ってみたら、青春映画が目立つ結果となってしまった。自分が青春映画好きであることを再確認した次第です。

それにしても今年の日本映画は充実していたなぁ。特にインディーズ作品に素晴らしい映画が多かった。予算をはじめ厳しい環境にある中で、これだけの作品が生み出されていることは驚異的なことかもしれない。

はたして今年はどんな映画に出会えるのだろうか・・・。