「コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団」
新宿シネマカリテにて。2017年7月5日(水)午後12時より鑑賞(スクリーン1/A-9)。
何せ金銭的な問題があるので、無制限に映画を観まくるわけにはいかない。たくさん公開される映画の中から、「これぞ!」という作品をセレクトして観ることになる。その際には各方面からの評価が高い、いわゆる良作や秀作、佳作などといわれる作品を鑑賞することが多くなってしまう。
だが、その反動だろうか。時々とんでもないオバカ映画やB級映画が観たくてたまらなくなることがある。ちょうど昨日もそんな気分だったのだ。
そんなわけで、観てしまいました。「コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団」(YOGA HOSERS)(2016年 アメリカ)。
ケヴィン・スミス監督の映画はカルトな作品が多い。特に前作の「Mr.タスク」は、人間をセイウチに改造することに執念を燃やす老人に捕まった男を描いたホラー映画で、セイウチ人間の強烈なビジュアルが刺激的すぎる作品だった。
その「Mr.タスク」には、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘のリリー=ローズ・デップ、そしてスミス監督の娘のハーリー・クィン・スミスが、女子高生コンビの役でチラリと登場していい味を出していた。
その名コンビぶりを見たスミス監督が、「これで1本作れんじゃね?」と作ってしまったのがこの映画だ。何という安直さ! そのため「Mr.タスク」のセイウチ話が飛び出したり、セイウチ人間にさせられたジャスティン・ロングが出演したりしているわけだが、まあ別に「Mr.タスク」を観ていなくても楽しめるだろう。
コリーン・コレット(リリー=ローズ・メロディ・デップ)と、コリーン・マッケンジー(ハーレイ・クイン・スミス)という2人のコリーン(Wコリーン)が主人公だ。2人はコンビニで一緒にバイトしている仲良し女子高生だが、バイトも授業もやる気なし。
冒頭はそのWコリーンが、コンビニのバックヤードで35歳のドラマーとバンド練習をしているところ。そこからすでにおバカな香りがプンプンと漂っている。何しろコンビニの入り口には「ぼうこう炎のため10分閉店」の貼り紙が……。
店に来るのは変な客ばかり。それに対するWコリーンの接客はいい加減。しかし、イケメンの上級生が来たら態度が一変。パーティーに誘われて大喜びする2人なのだ。
家に帰れば、コンビニのオーナーであるコリーン・コレットの父親が、店長の女といちゃつく始末。それを邪魔しようとスティクスの「Babe」を歌うWコリーン。それは父親との思い出の曲なのだった。
そして、2人が大好きなのがヨガ。それもかなりヘンなヨガで、怪しい先生(ジャスティン・ロング)の指導を受けている。
というわけで、ヘンなヤツらが次々に登場して、ヘンな行動をする前半。そんな登場人物をゲームキャラ風にテンポよく紹介する仕掛けが、なかなか斬新で面白い。
まもなくWコリーンは、学校で地元カナダにもかつてヒトラー崇拝者がいた歴史を知らされる。その過去の歴史をモノクロ映像で、いかにも正統派の歴史ドラマ風に紹介するのだが、そこで演説するのは「シックス・センス」の元天才子役ハーレイ・ジョエル・オスメント。その小太りのチョビヒゲ姿を観ているだけで、クスクス笑ってしまうのだ。
さて、このナチスの話が伏線になって、後半はますますおバカ度も笑える度も加速していく。コリーン・コレットの父親のわがままで、パーティーに参加できずにコンビニでバイトすることになったWコリーン。それならばと、コンビニに男子を呼んでパーティーを行おうとする。
ところが、その男子たちは悪魔崇拝者で、Wコリーンを殺害しようとする(何じゃ? そりゃ)。しかし、その時、誤って地下に眠っていた邪悪なミニナチ軍団を呼び起こしてしまい、彼らは殺害されてしまうのだった。
そこからは、いよいよWコリーンとミニナチ軍団のバトルが勃発する。そのミニナチ軍団ときたら、ソーセージやザワークラウトでできたクローンで、顔つきはヒトラーそっくり。それがWコリーンに電子レンジでチンされたり、ぐちゃりと潰されたりするものだから、あまりにもしょーもなくて、ただ笑うしかないのである。
その後、殺人犯の濡れ衣を着せられたWコリーン。彼女たちを救うのは「Mr.タスク」にも登場したアブナすぎる探偵。演じるのはジョニー・デップ。そうである。リリー=ローズ・メロディ・デップの父ちゃん登場だ。父娘共演だけあって、父ちゃんノリノリ。その怪演ぶりは「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパロウにも引けを取らない。
ちなみに、父ちゃんだけでなく母ちゃんのヴァネッサ・パラディもご登場だ。別れても、娘のために参集した元カップル。親の愛は偉大!なのか?
そんな探偵とWコリーン、さらにミニナチの親玉の科学者(なぜかスタローンやアル・パチーノなどスターの声色で説明をする)などが絡んで、ますます混沌かつおバカになる終盤。クライマックスはミニナチ軍団が解き放った巨大な怪物との対決。そのビジュアルも何だかヘンで笑ってしまう。
いやぁ~、それにしても、これだけおバカな映画を観たのは久しぶりである。くだらないB級映画なのは確かだが、それを承知でオバカを貫いている潔さが心地がよい。最初から最後まで笑いっぱなしだった。
エンドロールに流れるのはWコリーンによるカナダを賛美する歌。そして、その後にはスミス監督たちが、ヨガにはまる人たちを揶揄するバカ話を披露。まさにオバカ街道まっしぐら。ここまでやってくれたら文句なしである。
というわけで、たまにはこんなオバカ映画どうでしょう?
●今日の映画代、1000円。シネマカリては毎週水曜がサービスデー。