映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「第30回東京国際映画祭」その2

「第30回東京国際映画祭」その2

昨日、10月27日も東京国際映画祭へ。TOHOシネマズ六本木ヒルズにて、プレス&関係者向け上映で4本を鑑賞した。

「そんなにたくさんの映画を観たら疲れるだろう」とよく言われるのだが、「まったくそんなことはない!!」と断言する。どうしようもない映画だったりすれば、たとえ1本でも嫌になるわけだが、何せここに集まっているのは、世界の選りすぐりの映画ばかりなのだ。何本観ても全く飽きないし、全然疲れないのである。何ならあと1~2本観てもいいぐらいだ。いや、ホントの話。

さて、この日鑑賞した映画の簡単な感想を……。

・「神と人との間」(日本映画スプラッシュ部門)
谷崎潤一郎の短編小説を原案にした映画。監督は「下衆の愛」の内田英治。好きな女性を友達に譲った男の苦悩を描く。本来ならシリアスにすべき素材なのかもしれないが、舞台を現代に移し、笑いに満ちたタッチで描いたところが秀逸。どうしようもない三角関係に陥る男女の姿を通して、人間の愚かさ、恋愛の不可思議さが伝わってくる。渋川清彦、戸次重幸、内田滋の演技も印象的。

・「スヴェタ」(コンペティション部門)
カザフスタン映画。家のローンとリストラに追い詰められた聾唖者の女が、とんでもない生き残り策に出る。ほぼ手話のみで描かれる作品。手持ちカメラによる映像も印象的。生きるために手段を選ばない主人公の悪女ぶりに圧倒されるが、ラストの号泣シーンなどで、彼女がそうなった背景もキッチリ描き込んでいる。ヒロインやその夫など、主要キャストは演技初体験の聾唖者たち。

・「ナポリ、輝きの陰で」(コンペティション部門)
~イタリア映画。娘を何が何でも歌手にしようとする露天商の父親と、それに苦悩する娘をドキュメンタリータッチで描いた作品。極端なアップを多用し、2人の心理をあぶりだす。父親の行動の根底には愛情がありながら、どんどん暴走していく自分を止められないところが怖い。ラストの彼の何ともいえない表情が苦みを残す。演じるのが本当の露天商の父と娘だというのにビックリ。

・「花筐/HANAGATAMI」(Japan Now部門)
~九州・唐津で戦争の時代を生きた若者たちの青春群像ドラマ。窪塚俊介満島真之介長塚圭史柄本時生、矢作穂香、山崎紘菜門脇麦常盤貴子らが演じる個性的な人々が、独特の世界観の中で様々なドラマを織りなす。3時間近い作品だが、鮮烈なイメージショットなど圧倒的な映像美でまったく目が離せない。そして反戦への強い思いが全編を貫く。大林宣彦監督の渾身の一作。12月16日より一般公開されるのでぜひ。

というわけで、昨日は11時にようやく終了。

そして今日もオレは六本木ヒルズへ。