映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「第30回東京国際映画祭」~その4

「第30回東京国際映画祭」~その4

本日、10月29日は、台風が来るとか来ないとかで、朝から雨模様。どんどん風雨が強まって、昼前にはかなりなことになっていた。

それでも朝から東京国際映画祭開催中の六本木ヒルズへ足を運ぶオレ。もはや自分が「映画バカ」ではなくて、ただの「バカ」なんじゃないかとさえ思えてきたのである。

ともあれ、本日は4本の映画を鑑賞。

「ある肖像画(アジアの未来部門)
~フィリピンのミュージカル映画。1941年、太平洋戦争開戦直前のマニラを舞台に、ある画家の邸宅を舞台に、彼の2人の娘を中心に様々な人々が織りなす悲喜こもごものドラマ。笑いや感動などあらゆる要素をバランスよく配した構成、そして何よりも楽曲の素晴らしさと歌の上手さが光る。ミュージカル映画として、すべてにおいてハイレベルな作品。

「ザ・ホーム-父が死んだ-」コンペティション部門)
イラン映画(ただし、言語はトルコ語)。疎遠だった父が死に、遺言の献体を必死で阻止しようとする娘。ワン・シチュエーションで激しい会話を繰り広げる人々を、独特のカメラワークでスリリングに見せる。あまりにも強硬な態度の娘が、実はとんでもない秘密を抱えていたことがわかるラスト。現実と真実の違いを描きたかったという監督の言葉に納得。

「飢えたライオン」(日本映画スプラッシュ部門)
~女子高生・瞳の担任が児童ポルノ禁止法違反の容疑で警察に連行される。その性的動画が流出し、相手が瞳だというデマが流れる。それがさも事実のように広がっていき、瞳はどんどん転落していく。短いカットをつないだ淡々とした映像がリアルな怖さを醸し出す。SNSやマスコミ、学校、親など社会が抱える闇を容赦なく突きつける。重たい作品だが、今だからこそ観るべき一作。

「4月の終わりに霧雨が降る」(CROSSCUT ASIA部門)
~2012年のタイ映画(オランダ合作)。失業して故郷に戻った青年の日常を描く。現実と虚構が入り交じり、映画を撮る側と撮られる側が入れ替わるなど、かなり実験的な作品で、すぐには理解しがたいところもあるが、全体を包む緩くて穏やかないタッチが魅力的で後味は悪くなかった。

実は今日は5本目の予約もしていたのだが、あまりの悪天候に予約をキャンセルして急いで帰宅。そしたら、まあ、帰宅時には雨が上がっているではないか。ま、こんなこともあるさ。