「第30回東京国際映画祭」~その7
映画祭の最中は時間がないので、まともな食事がなかなか摂れない。ふだんから大したものは食べていないのだが、それがますますひどくなる。ついに今日はまったく時間がなくて昼食を抜いてしまった。しかし、あまり空腹を感じないから不思議なものだ。映画というごちそうをたくさん食べているからだろうか。な~んてことはないか。
昨日の11月1日は4作品を鑑賞。
・「泉の少女ナーメ」(コンペティション部門)
~ジョージアの山岳地帯の村。不思議な力があるといわれる泉を代々守る家系。だが兄たちが家を出たために、ナーメという少女が父から後継者を託されるが……。何よりも目につくのが荘厳で神秘的な映像美。その中で、伝統と旧習からの自立の狭間で揺れ動く少女ナーメを抑制的に描く。恋を知り、普通の人生に憧れ始めた彼女はどんな選択をするのか。魚を象徴的に使ったラストが印象深い。
・「サッドヒルを掘り返せ」(ワールド・フォーカス部門)
~マカロニウエスタンの傑作「続・夕陽のガンマン」が撮影されたスペインのサッドヒルに当時映画用に作られた墓地を復活させるファンたちの活動を軸に、製作時のエピソード(橋の爆破に失敗した話や、軍隊をスタッフに雇った話など)を関係者が語るドキュメンタリー。主演のクリント・イーストウッドや音楽のエンニオ・モリコーネも登場。損得など考えずに、夢に向かって突き進むファンたちの映画愛が心にしみる。
・「迫り来る嵐」(コンペティション部門)
~1990年代の中国。工場の警備員の男が刑事になる夢を抱き、連続女性殺人事件の捜査に首を突っ込むが……。犯罪捜査という魔物に取りつかれ愛する人まで失う男の悲劇を、ダークで重たい世界観で描いたフィルムノワール。雨の中の追走劇や主人公の暴走など、緊迫感あふれるシーンの連続。異様な迫力で最後まで目が離せない。そして終盤に明かされるあまりにも切ない事件の真相。主演のドアン・イーホンとヒロイン役のジャン・イーイェンの演技も光る。
・「ハウス・オブ・トゥモロー」(ユース部門)鑑賞。ある思想家を信奉する祖母のもとで、純粋培養のように育てられた少年セバスチャン。ある日、パンクロック好きの少年ジャレッドと知り合いバンドを組むことになるが、彼は心臓移植を受けていた……。友情、音楽、自立を生き生きと描いた王道の青春映画。乗りの良いパンクロックも満載。名女優エレン・バースティン演じるセバスチャンの祖母や、ジャレッドの父、姉など周辺の人々も良い味を出している。楽しく笑って最後は心が温まる作品。
さぁ、いよいよ本日はプレス&関係者向け上映の最終日。気合を入れて行くぜ!!