第31回東京国際映画祭が本日3日で閉幕。関係者向けの上映は昨日で終わっているので、オレの参戦も昨日まで。前回のブログの後に鑑賞した映画の感想を簡単に。
11月1日
・コンペティション部門「大いなる闇の日々」
~第二次大戦中に、徴兵を逃れてカナダからアメリカに避難しようとする男の数々の受難を描く。主人公がチャップリンのものまね大会の優勝者というのがユニーク。ダークホラー的な側面もあるコワい寓話。それを通して、戦争の狂気や世界の現状に対する痛烈な批判が聞こえてくる。
・コンペティション部門「ヒズ・マスターズ・ヴォイス」
~ハンガリー青年の父親捜しの話に、宇宙SFや米軍の陰謀(謎の兵器実験)まで組み込んだユニークすぎる作品。圧巻なのがその映像。オープニングタイトルからエンドクレジットまで、次にどんな映像が飛び出すのか全く予測不能で、最後まで目が離せず。良い意味で監督のやりたい放題の怪作。
・コンペティション部門「愛がなんだ」
~角田光代の小説を今泉力哉監督が映画化。28歳のOLを中心に様々な「片思い」を描く。リアルな登場人物のリアルな会話を聞いているうちに、「ああ、こういう人いるよなぁ」と納得。ついでに、自分にも共通点があることに気づいてドッキリ。恋愛の複雑さがよく伝わってくる。主演の岸井ゆきのはじめキャストの演技も自然体。
11月2日
・ワールド・フォーカス部門「ある誠実な男」
~かつて愛した女性とその息子、そして若い女に振り回される男。ユーモアたっぷりにテンポよく描かれるいかにもフランス映画らしいラブコメ。監督は主演も兼ねるルイ・ガネル。女性のしたたかさとコワさがヒシヒシと伝わってくる。主人公を振り回すレティシア・カスタ、リリー=ローズ・デップ(ますます父親そっくり!)の演技も魅力。
・ユース部門「蛍はいなくなった」
~将来の夢もなく、地元や周囲の人々の何もかもが気にいらない少女が、年上のギタリストとの出会いや実父との再会などを通してほんの少しだけ変わる。ティーンのあまりにもリアルな心情が繊細に描かれた青春ドラマで共感する人も多そう。主演のキャレル・トレンブレイ、そしてギタリスト役のピエール=リュック・ブリアンも存在感がある。
・ユース部門「ジェリーフィッシュ」
~病気の母と幼い妹弟を抱えてどん底の生活を送る15歳の少女が、教師から勧められたスタンダップ・コメディに喜びを見出す。優しさとたくましさを同居させた主演のリヴ・ヒルの演技が圧巻。クライマックスのステージで素の自分に戻った姿が印象的。ラストで主人公にそっと寄り添う教師の姿も心に染みる。
というわけで、会期中に足を運べたのは4日だけだったが、できるだけハシゴして何とか15本の映画を鑑賞することができた。どれも面白い作品だったが、コンペ作品の全16作品中8本しか鑑賞できず、最優秀芸術貢献賞の「ホワイト・クロウ(原題)」、審査員特別賞の「氷の季節」、東京グランプリの「アマンダ(原題)」などを見逃してしまったのが残念。
そんな中、若手キャストに送られる東京ジェムストーン賞を「菊とギロチン」で主演を務めた木竜麻生が受賞したという嬉しいニュースも。近いうちに公開になる「鈴木家の嘘」にも出演しているのでぜひ注目を。これからどんどん活躍する女優だと思うので。
さーて、オレにとって今年最大のイベントもこれにて終了。来年はどうなるかわかりませぬが、とりあえずこれからも映画を観続けて感想を書いてまいりますので、何卒よろしくお願いいたしまする~。