映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「愛しのダディー殺害計画」

「愛しのダディー殺害計画」
2020年4月23日、Vimeoにて視聴

映画館にはまだ行けないが、とりあえず配信サイトで観た映画の感想を書きます。

2020年に公開になった「愛しのダディー殺害計画」。CMやミュージックビデオ、ショートムービーなどを手がけてきたイリエナナコ監督による劇場デビュー作。若手監督の発掘を目的に短編映画の製作、配信などをサポートする「MOON CINEMA PROJECT」の第3回グランプリ作品だ。このほどVimeoにて英語字幕付きで公開された。

マリ(佐藤ミケーラ)とエマ(モトーラ世理奈)の姉妹は14年前に母親が恋人と家を出て行ってから、優しい父親(岡慶悟)と3人で仲良く暮らしてきた。しかし、ある日、父が「再婚したいと思っている」と言い出す。大事な父親がいなくなることが許せない2人は幼なじみの照美(細川佳央)を巻き込んで、父親の殺害計画を立てるのだが……。

30分弱の映画ということもあり、ツッコミどころは満載だ。とはいえ、見どころはある。特にビビッドな色彩に彩られたポップな映像は、さすがにCMなどを手がけてきた監督だけのことはある。幼い頃の姉妹が遊ぶシーンや今の姉妹の姿、重要な役を果たすタンポポの花などの映像が印象的に綴られる。

映画は殺害計画をステップごとに追うが、ツッコミどころ満載なのが、逆にユーモアに結びついている。「そんなことないだろ!」と思いつつ、つい笑ってしまうのだ。演出もユーモラスさを強調している。

姉妹の心の変遷もそれなりに捉えられている。過去にしがみつき、それを守るために父親を殺害しようとした姉妹が、あれほどカッコいい父の別な姿を知り、過去の愛情を賛美する祖母に出会うなど、様々な出来事を経て変わっていく。そして、最後には新しく生まれ変わるに至る姿が、鮮やかな映像とともに描かれている。

主演の2人もこの映画のポップなテイストに合っている。佐藤ミケーラは元「アイドリング!!!」メンバーとのこと。モトーラ世理奈はもともとモデルだが、映画でもいい味を出している。個性的な俳優だ。

30分弱でサクッと観れるので、まあ観ておいてもいいと思う。イリエナナコ監督はその後目立った監督作はないようだが、もしかすると今後大化けするかもしれない。主演の2人の弾けた演技もなかなか良い。

◆「愛しのダディー殺害計画」
(2019年 日本)(上映時間28分)
監督・脚本:イリエナナコ
出演:佐藤ミケーラ、モトーラ世理奈、岡慶悟、細川佳央、矢野陽子、久保田芳之、川上史津子、濱田龍司、四條久美子、齋田吾朗
*Vimeoにて英語字幕付きで公開中
ホームページ www.itoshinodaddy.com/
配信サイト https://vimeo.com/701165025/87aa309de6


www.youtube.com