映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「ロングレッグス」

「ロングレッグス」
2025年3月23日(日)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時15分より鑑賞(スクリーン6/C-7)

~怪しく、謎めいて、異様な緊張感の途切れないホラー・サスペンス

 

最近の予告編で最も面白そうだと思った作品が「ロングレックス」。あの「サイコ」の主演俳優アンソニー・パーキンスの息子オズグッド・パーキンス監督によるホラー・サスペンスだ。アメリカではプロモーションが話題になったこともあり、予想を超える大ヒットになったという。

内容は、連続殺人事件を捜査するFBI捜査官のドラマだ。1990年代半ばのオレゴン州。FBIの新人捜査官リー・ハーカー(マイカ・モンロー)は、上司から過去30年間に起きた10件の未解決連続殺人事件の捜査を任される。事件に共通するのは、いずれも父親が妻子を殺害した後に自殺していること。現場には「ロングレッグス」という署名入りの謎の手紙が残されていた。リーはそれぞれの事件の共通点を探り、事件の真相に近づいていくのだが……。

映画の冒頭、少女がある人物と遭遇する場面が描かれる。実は、これがあとあとになって大きな意味を持つことがわかる。

場面は転じて、FBIの新人捜査官リー・ハーカーが未解決連続殺人事件の捜査を命じられる。ハーカーは同僚とともに聞き込みに出かける。そこで彼女は犯人の居場所を直感的に予言する。「応援を呼んでほしい」と同僚に依頼するが、同僚は「それだけでは応援は呼べない。自分が聞き込みに行く」と言う。そして、問題の家を訪ねたとたん、彼は射殺されてしまうのだ。

この衝撃的な場面は、何を意味するのだろうか。犯人の居場所を直感的に探り当てたハーカーは超能力者なのか?

そんな疑問を抱きつつ半信半疑でドラマを見つめているうちに、どんどんスクリーンに引きずり込まれてしまった。その理由は巧みな雰囲気作りにある。何やら怪しく、謎めいて、異様な緊張感が漂う場面がオープニングから続いていく。最後まで緊張感が途切れることはない。それは名作「羊たちの沈黙「セブン」などとも共通する雰囲気だ。

映像も見応えがある。鮮烈なカットが随所に登場する。主人公の脳内のものと思しきイメージ映像もミステリアスさを高める。被害者の子供の誕生日がいずれも14日であること。ハーカーが解読した手紙の暗号文。そうした断片的な手掛かりをばらまいて、謎を増幅させる手法も巧みだ。

ドラマの転機となるのは、ハーカーが上司とともに事件現場のある農場を訪れるところ。そこには不思議な人形があった。精巧な子供の人形で、頭には謎の球体が埋め込まれていた。その球体は何なのか?

ハーカーは事件の生き残りの女性を精神病院に訪ねる。その女性は前日にある人物と面会していた。面会者の名簿には何と「リー・ハーカー」と記入されていた。

こうして謎に満ちあふれた展開の中、ある人物が殺人犯のロングレッグスとして浮上する。

まあ、これについては早いうちにわかってしまうんですけどね。だけど、ロングレッグスを演じる人物が壮絶な演技を披露しているので圧倒されてしまう。え? それは誰か? うーん、これはネタバレになるのかもしれないが、思い切って言ってしまおう。ニコラス・ケイジだッ! あ、皆さんわかってましたか?

これが良い演技をしているんだわ。最初のうちは見るからに変質者。コンビニの女の子に「キモいやつが来た」と言われる始末。その風貌も言動もまともではない。だが、次第に得体の知れなさが増幅する。まもなく彼は逮捕されるのだが、そこの演技が背筋ゾクゾクもの。何かに憑かれたような壮絶な演技でまさに怪演としか言いようがないのだ。

ニコラス・ケイジに対する主人公役のマイカ・モンローの虚ろな佇まいも魅力的だ。全く笑顔を見せず、襲い来る恐怖に対峙する姿が本作の主人公にはピッタリだった。この俳優陣の頑張りとパーキンス監督の演出の冴えが本作の肝となっている。

そして、ロングレックスが捕まってもドラマは終わらない。そこには驚きの展開が待っている。ハーカーが幼少時にロングレックスと遭遇していたことが明らかになり、その事実が呪われたラストへとつながっていくのである。

もう1つ、私にとって本作の魅力となっていることがある。それはTレックスの楽曲だ。冒頭近くで歌詞が出てくるし、ロングレックスの部屋の壁にはマーク・ボランのポスターが貼ってある。極めつけはエンドロールで「ゲット・イット・オン」が流れる。それをバックにクレジットが上から下へではなく、下から上に流れていく。これも悪魔の呪いなのか!? なんてね。

予告編にあるように「この10年でいちばん怖い映画」かどうかは知らないが、ホラー的な醍醐味をたっぷり詰め込んだ映画だ。ホラーの王道的な要素をきっちり押さえ、悪魔崇拝などのオカルト的な要素も加えて観客を手玉に取る。魅力的で上質なホラー・サスペンスだった。

ちなみに、オズグッド・パーキンス監督は俳優としても活動していて、「キューティ・ブロンド」「セクレタリー」「スター・トレック」「NOPE/ノープ」などに出演している。監督作はこれが4作目ということだが、今後もこの手のユニークな作品を生み出してくれるかも。

◆「ロングレッグス」(LONGLEGS)
(2023年 アメリカ)(上映時間1時間41分)
監督・脚本:オズグッド・パーキンス
出演:マイカ・モンローニコラス・ケイジ、ブレア・アンダーウッド、アリシア・ウィット、キーナン・シプカ
*ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開中
ホームページ https://movies.shochiku.co.jp/longlegs/

 


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