映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「ドールハウス」

ドールハウス
2025年6月18日(水)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時10分の回(スクリーン9/D-11)

~人形を巡る奇怪な物語。ベテラン矢口監督の新境地

 

腐れ縁ではないが、「この監督の作品はずっと観ているから」という理由で、さして面白そうでもない映画を観に行くことがある。矢口史靖監督の映画もそう。今回はホラー映画ということで、あんまり食指は動かなかったが、結局観に行ってしまった。

矢口監督といえば、「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」など明るい作品のイメージが強い。それがなぜにホラー?

ともあれ、従来通りにオリジナル脚本で挑んでいるのが矢口監督らしいところか。

5歳の娘・芽衣を亡くした鈴木佳恵(長澤まさみ)と看護師の夫・忠彦(瀬戸康史)。悲しみに暮れる佳恵はある日、骨董市で芽衣によく似た人形を見つけ、その人形を娘のようにかわいがることで元気を取り戻していった。そんな中、佳恵と忠彦の間に新たな娘・真衣が誕生する。それとともに、佳恵は人形に見向きもしなくなる。やがて、5歳に成長した真衣が人形と遊び始めると、奇怪な出来事が次々と起こるようになる……。

序盤は、佳恵が我が子を失くして悲しみに暮れる様子が描かれる。何しろ娘は、佳恵が目を離した隙に行方不明になり、洗濯機の中で死んでいるのが発見されたのだ。佳恵は精神的におかしくなってしまう。

そんな中、彼女は人形と出会う。この人形の造形が秀逸なのだ。本物の人間の子供のよう。しかも、どことなく怪しい魅力を秘めている。佳恵が気に入るのも頷ける。彼女は自分の娘のように扱う。ベビーカーに乗せて買い物にまで出かけるのである。

過剰に思えるこの場面だが、「ドールセラピー」というものがあることが劇中で医師から告げられる。何より人形の造形のおかげで、荒唐無稽さが和らぐ。佳恵は徐々に良くなっていく。

ちょうどその頃、佳恵と忠彦の間に新しい娘が誕生する。そうなると佳恵の愛情はすべて娘に注がれ、人形には見向きもしなくなる。

それから5年後、奥にしまっていた人形を娘が見つける。娘は人間の友達のように仲良く人形と遊ぶ。しかし、そのあたりから奇怪な出来事が起き始める。

というわけで、このあたりからオカルト的な不可思議な現象が頻発し、佳恵たちを怖がらせ、果ては危険な目に遭わせる。いかにもホラー映画の定番的な展開だが、さすがにベテランの矢口監督。慣れないホラーとはいえ手際が鮮やかだ。

佳恵を演じるのが長澤まさみというのも効いている。先頃この人の舞台を生で見て(森山未來と共演した「おどる夫婦」)、その演技力の高さに感心したのだが、彼女が演じることでホラー映画もただの怖い映画ではなく、母親の狂気や悲しみも伝わる映画となっている。

さて、あまりの奇怪な出来事の連続に人形を捨てる佳恵。だが、そこでも様々な奇怪な現象が起きて人形は戻ってきてしまう。

後半はやや風向きが変わってくる。個性的な刑事(なぜか安田顕)、オカルト系YouTube、お焚き上げの神社、そこの生臭坊主などが次々に登場し、ドラマをかき乱していく。

そして、人形の正体を巡るミステリーの色合いも濃くなっていく。その人形はある有名な作家の手になるものだった。佳恵と忠彦は専門家の助けを借りながら、人形に隠された秘密を解き明かしていく。

ここで登場するのが人形に詳しい呪禁師の神田だ。演じるのは田中哲司。演技派の彼が大仰な演技で人形に対峙する。すいません。私、ここで笑ってしまいました。アンタ、こういう役をやるんか~い! いや、笑っている場合ではない。ドラマはさらに恐ろしいことになり、最後の最後まで気を抜けない。

ある島で壮絶なクライマックスを迎えたドラマは、最後にめでたくハッピーエンドを迎えて終わりとなる。

と思ったら、まだあるんか~い! 「しまった、私たちは間違っていた!」という神田のひと言で、おぞましさを漂わせたラストへとつながる。ベビーカーを押す夫婦の姿にゾクゾクさせられた。

突出したものはないけれど、ホラー映画として普通に楽しめる映画になっている。怖いものが好きな方にはおススメでと思う。何よりもベテランにして、新境地にチャレンジした矢口監督の意気や良し。豪華キャストの切れた演技にも注目だ。品川徹の相変わらずの怪演ぶりもさすが。

◆「ドールハウス
(2025年 日本)(上映時間1時間50分)
監督・脚本・原案:矢口史靖
出演:長澤まさみ瀬戸康史田中哲司、池村碧彩、本田都々花、今野浩喜西田尚美品川徹安田顕風吹ジュン
*TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
ホームぺージ https://dollhouse-movie.toho.co.jp/
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