映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「爆弾」

「爆弾」
2025年11月11日(火)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。(スクリーン5/G-12)

佐藤二朗の怪演をはじめエンターティメントとして間違いなく面白い映画

 

大ヒットしている映画だと「別に私でなくても誰かが取り上げるだろう」と思ってつい敬遠したりする。とはいえ、別に断固として避けているわけではないので、たまにはヒット作も観に行く。という訳で「爆弾」だ。原作は呉勝浩の小説。監督は「恋は雨上がりのように」「キャラクター」「定一の國」などの永井聡。CM監督出身らしいが、残念ながら私は過去作を観たことがない。

酒に酔った勢いで自販機を壊し、店員を殴って警察に逮捕された謎の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗り、「霊感が働く」と言って都内で爆破事件が起きることを予知してみせる。やがてその通りに爆発が起こり、スズキはその後も1時間おきに3回爆発すると予言する。取り調べに当たった警視庁捜査一課の類家(山田裕貴)は、スズキの言動から次の爆発現場を割り出そうとするのだが……。

取調室が大きな比重を占めるドラマだ。密室の中だけに動きは少なく、ヘタな役者が演じたらすぐに飽きてしまう。だが、この映画の役者たちは出色だ。中でも「スズキタゴサク」を名乗る犯人を演じた佐藤二朗の怪演がすごい!

のらりくらりと刑事の追及をかわし、様々な態度で相手を翻弄し、爆弾に関する謎めいたクイズを出して刑事たちを混乱させる。その一方で、社会の底辺で生きる人々の思いをぶちまけ、世の中への絶望を声高に訴える。そんなスズキを観ているうちに、観客もまた彼に翻弄されていくのである。

佐藤二朗の特徴は大仰な演技で、それが鼻につくことも多いのだが、本作についてはむしろそれがピタッとハマっている。その演技を観ているだけで十二分に面白いのだ。彼をキャスティングした時点で、この映画の成功は決まったようなものだ。

さらに、彼と対峙する刑事たちもクセ者揃いとくる。最初に捜査に当たる所轄の等々力刑事(染谷将太)、それを引き継ぐ本庁の清宮(渡部篤郎)、そして同じく本庁の切れ者だが変わり者の類家(山田裕貴)。いずれも個性派揃いで、良いキャラクターをしている。スズキの見張り役を務める伊勢刑事(寛一郎)も含めて、これだけのメンツが揃えば面白くないはずがない。演出も手持ちカメラなども使いつつ、緊張感を高めていく。情報を少しずつ小出しにするあたりも巧みな構成だ。

とはいえ、もちろんそれだけでドラマは成立しない。都内各地の爆弾捜索の行方も同時に描かれる。そこでは、爆弾が爆発するド派手なアクションを展開。また、何とか手柄を立てたいと焦る矢吹巡査(坂東龍汰)とその相棒の倖田(伊藤沙莉)などが捜索の原動力となって、ドラマを動かしていく。こちらもなかなか面白い。

事件の背景となった警官の不祥事や、それにまつわる人間ドラマなどもソツなく盛り込まれている。

ただし、やたらに爆弾が爆発するので、終盤はやや冗長に感じられたのも事実。また、最後のオチも今ひとつピンとこなかった。原作をそのまま踏襲したものなのかもしれないが、なにせ2時間強の映画なのでもう少し整理したほうが良かったかも。

それでもエンタメとしての面白さは間違いのないところ。佐藤二朗の演技だけでも観る価値は間違いなくある。

◆「爆弾」
(2025年 日本)(上映時間2時間17分)
監督:永井聡
出演:山田裕貴伊藤沙莉染谷将太坂東龍汰寛一郎片岡千之助、中田青渚、加藤雅也正名僕蔵夏川結衣渡部篤郎佐藤二朗
*新宿ピカデリーほかにて全国公開中
公式ホームページ https://wwws.warnerbros.co.jp/bakudan-movie/
(外部のサイトに移動します。外部のサイトの内容については責任を負いませんので)

 


www.youtube.com

 

*はてなブログの映画グループに参加しています。よろしかったらクリックを。

 

*にほんブログ村に参加しています。こちらもよろしかったらクリックを。

にほんブログ村 映画ブログへ にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村