「ザ・ブライド!」
2026年4月3日(金)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時15分より鑑賞(スクリーン9/D-12)
~「フランケンシュタインの花嫁」の現代風アレンジ。フェミニズム的視点を取り入れる

「ザ・ブライド!」は、古典的モンスター・ホラー「フランケンシュタインの花嫁」を現代風に焼き直した作品。1930年代のアメリカを舞台に、怪物フランケンシュタインとその花嫁の逃避行を描いている。監督は、俳優でもあるマギー・ギレンホール。2021年の長編監督デビュー作「ロスト・ドーター」に続く監督第2作だ。
映画の冒頭に一人の女性が登場する。「フランケンシュタイン」の原作者メアリー・シェリーだ。「続きの物語がある」と語り始める。そして、なんと彼女はある女性に憑依してしまうのだ。
それはアイーダ(ジェシー・バックリー)という女性。彼女はマフィアのボスもいるパーティーの席上、メアリー・ジェーンの人格が現れ、大暴れした末に階段から突き落とされてしまう。
場面は変わって、高名な研究者のユーフォロニウス博士(アネット・ベニング)の家。怪物フランケンシュタイン(クリスチャン・ベール)が訪れる。人間たちから嫌われ、誰とも心を通わせることなく生きてきた彼は、孤独に耐えきれなくなり、ユーフォロニウス博士に伴侶を創ってもらおうとやってきたのだ。
ユーフォロニウス博士は墓場から、事故死した女性の遺体を掘り起こす。それはアイーダの遺体だった。博士はアイーダを生き返らせる。こうしてフランケンシュタインの花嫁・ブライドが誕生する。
ブライドは記憶を失っている。しかも、時々「ノックノック」という声とともに、メアリー・ジェーンの人格が現れる。
フランク(フランケンシュタイン)とブライドは博士の家を脱出するが、まもなく追われる身となる。こうして2人の逃避行が始まる。
本作の大きな特徴は、過去に描かれてきた「フランケンシュタインの花嫁」と違い、ブライドに主体性と言葉を与え、大暴れさせているところ。ブライドはマフィアに利用され、殺された女性たちの恨みをまとっている。それを晴らすべく暴れる。男の欲望によって蘇生した彼女が、男どもに利用された女性たちの恨みを晴らそうとするのだ。そこにはフェミニズム的な視点が見え隠れする。
そんなブライドに刺激されて、彼女と同じように口の周りにメイクを施した女性たちが、社会全体を揺るがす革命へと突き進むというエピソードも登場する。これまた明らかにフェミニズム的な視点を感じるエピソードだ。
とはいえ堅苦しい話ではない。2人の逃避行はまるでボニー&クライド。フランクがロニー・リードというハリウッドスターのファンで、彼の出演するモノクロ映画を偏愛し、その舞台となった場所を訪れるというのも面白い。
途中からはその2人を追う男女の警察官が登場し、ドラマを盛り上げる。また、ミュージカルまがいのダンスシーンなどもたびたび登場する。基本は、ダークでブラックでバイオレンス描写満載の映画だが、あの手この手で観客を楽しませる工夫をしているのだ。
撮影と音楽は「ジョーカー」のローレンス・シャーとヒドゥル・グドナドッティル。そのせいか、どこか「ジョーカー」的な雰囲気も感じさせる。1930年代らしい凝ったセットや衣装も見ものだ。
まあ、あえていえば色々な要素を詰め込み過ぎの感はある。前述した革命のエピソードなどもチラッとしか出てこない。有名俳優を多数起用しているので、それぞれの見せ場を作らねばならない事情もあったのかもしれない。
しかし、それを除けばなかなか見応えのある作品で、最後まで飽きることはなかった。
フランケンシュタインを演じたのはクリスチャン・ベール。この手のクセモノ役はお手の物とあって、異形の怪物を巧みに演じていた。
しかし、それを上回るのがブライド役のジェシー・バックリーのブチ切れた演技だ。まさに怪演といってもいいかもしれない。恐ろしくて魅惑的なその姿が今もずっと心に残っている。もともとイギリスの王立演劇学校を卒業した人で、ギレンホール監督の前作「ロスト・ドーター」や「MEN 同じ顔の男たち」などで演技力の高さを示してきたが、本作の演技は桁外れ。続いて日本公開になった「ハムネット」では全く違うタイプの役を演じて、アカデミー賞主演女優賞を受賞している。そちらの演技も楽しみだ。
その他にも、刑事役のピーター・サースガード、ペネロペ・クルス、ユーフォロニウス博士役のアネット・ベニング、ギレンホール監督の弟でロニー・リード役のジェイク・ギレンホールなど超豪華俳優の共演を観るだけでも楽しい。
◆「ザ・ブライド!」(THE BRIDE!)
(2026年 アメリカ)(上映時間2時間7分)
監督・脚本:マギー・ギレンホール
出演:ジェシー・バックリー、クリスチャン・ベール、ピーター・サースガード、アネット・ベニング、ジェイク・ギレンホール、ペネロペ・クルス
*TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開中
公式ホームページ https://thebride-movie.jp/
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