映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「帰ってきた あぶない刑事」

「帰ってきた あぶない刑事」
2024年6月6日(木)グランドシネマサンシャイン池袋にて。午後1時55分より鑑賞(スクリーン2/D-11)

~かつての雰囲気そのままに70代のタカ&ユージが大暴れ

 

昔はTVドラマが好きで、刑事ドラマや探偵ドラマをたくさん見ていた。舘ひろし柴田恭兵が型破りな刑事タカ&ユージを演じて人気を博した「あぶない刑事」シリーズも、おそらく見ていたはずなのだが明確な記憶はない。なぜだろう。

1986年にTVドラマが放映開始されて以来連続ドラマ2本、スペシャルドラマ1本が製作され高視聴率を記録。さらに映画も7本製作され、いずれも大ヒットを記録しているこのシリーズ。最後の映画は2016年の「さらばあぶない刑事」。「さらば」と言うからには、これで最後だろうと思ったら、なんとびっくり、8年ぶりの新作「帰ってきた あぶない刑事」の登場だ。

前作で定年退職したタカこと鷹山敏樹(舘ひろし)と、ユージこと大下勇次(柴田恭兵)。ニュージーランドに渡って探偵をしていたが、トラブルを起こして探偵免許をはく奪されてしまう。

仕方なく横浜に戻った2人。冒頭は横浜の夜の埠頭で語り合う2人。その直後、香港在住の日本人弁護士が何者かに殺害される事件が起こる。事件にひっかかりを感じたタカは、埠頭で見かけた劉飛龍(岸谷五朗)を訪ねる。彼にはステラ・リー(吉瀬美智子)というビジネスパートナーがいたが、タカは彼女が昔の恋人に似ていると感じる。

一方、その頃、2人が新たに開いた「T&Y探偵事務所」に依頼人第1号として永峰彩夏(土屋太鳳)がやってくる。彼女は、自分を産んで消えた母・夏子を探してほしいという。実は、タカとユージはかつて夏子とつきあっていたことがあり、そのため彩夏はどちらかの娘ではないかという疑念が頭をよぎる。タカとユージは夏子の消息を調べ始めるのだが……。

今から見ればちょっと古びた感じのオープニング。テーマソングの「She's So Good」が流れだした瞬間から、ここは紛れもない「あぶ刑事」の世界だ。

物語は彩夏の母親探しを縦糸に、横浜のカジノ誘致とその裏でうごめく悪党の策謀を横糸に進んでいく。といっても、特に凝った話があるわけではない。彩夏の母親探しにしても、その目星は早いうちについてしまう。だが、それでいいのだ。

本作の魅力は、セクシーなユージとダンディなタカが繰り広げる軽妙なやりとり。そして本格的なアクション。舘ひろし柴田恭兵が縦横無尽の活躍を見せるだけで、すべてが成立してしまうのである。

映画の雰囲気は昔のままだ。東映傘下のセントラル・アーツの名プロデューサー、故・黒澤満にリスペクトを捧げつつ、同じくセントラル・アーツ出身の近藤正岳がプロデューサーを務め、大川俊道と岡芳郎が脚本を担当。監督はTVシリーズの演出も担当した原隆仁監督の実子・原廣利。というわけで、初期のスピリッツをそのまま本作に持ち込んでいる。

タカとユージのかつての若々しい姿を映したり、過去の作品に登場した中条静夫柄本明をチラッと見せたりと、昔からのファンにはたまらない仕掛けもある。

キャストは主役2人をはじめ、捜査課長役の仲村トオル、情報屋のベンガル、港署の課長秘書役の長谷部香苗(懐かしの瞳ちゃん!)らおなじみのメンバーが安定の演技を見せる。

それに加えて、ヒロインの土屋太鳳をはじめ、岸谷五朗吉瀬美智子西野七瀬早乙女太一杉本哲太深水元基らの新たなキャストが新味を添える。謎の中国人役の岸谷やファムファタール的な役柄の吉瀬は、何気に過去のシリーズ作品にも登場していたような描き方をされているが、実は今回が初めての出演だ。

とはいえ、やっぱりタカ&ユージだよなぁ。2人ともとても70代には見えない。もちろんアップになればそれなりの年齢なのがわかるが、スタイルや振る舞いは昔のままだ。おそらく外見以上に気持ちが若いのだろう。それが見た目にも反映されているのではなかろうか。私がここ数年推している伊藤蘭もそうだけれど。

そんな2人が目いっぱい暴れまわるのが、クライマックスの場面。もはや刑事ではないタカ&ユージに一日署長ならぬ「一日あぶ刑事」を委嘱して、銃まで与えるという気の利いた設定。おかげで、カーアクションや銃撃戦、格闘シーンと手抜きなし。タカがハーレーに乗ってショットガンを放つ有名なシーンも健在だ。2人の愛車だった日産レパードの登場も昔からのファンの胸を熱くする。関係ないね!

そしてそして、真山薫役の浅野温子も出番こそ少ないが、凄まじい破壊力。「大都会」の熱唱で一気に観客を笑いの渦に引き込む。さらに、ラストで探偵事務所の秘書役を買って出て「お待たせしましたぁ!」の一声。それにすかさずタカ&ユージが「間に合ってます!」。CMでもおなじみのコントのような掛け合いが楽しめる。

なんだ、ワタクシ、けっこう覚えてるじゃん。あぶ刑事のこと。

日本のバディものの刑事ドラマの金字塔。今では珍しい東映のプログラムピクチャの系譜を受け継ぐ作品。ある意味、歴史を作ったドラマだけに観ておく価値は十分にある。古くからのファンはもちろん、若い人たちにもアピールしているようで観客動員が好調なのはうれしい限り。

◆「帰ってきた あぶない刑事」
(2024年 日本)(上映時間2時間)
監督:原廣利
出演:舘ひろし浅野温子仲村トオル柴田恭兵、土屋太鳳、西野七瀬早乙女太一深水元基ベンガル、長谷部香苗、鈴木康介、小越勇輝杉本哲太岸谷五朗吉瀬美智子
*TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開中
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