映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「クライ・マッチョ」

「クライ・マッチョ」
2022年1月20日(木)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時25分より鑑賞(スクリーン5/G-13)

イーストウッドのたたずまいが人生を語る。孤独な老人と少年のロードムービ

いよいよこれが最後の監督作か。と毎回思わせられるクリント・イーストウッド監督の映画。しかし、そのたびにまた新作が出て驚かされる。

そんなイーストウッドが監督デビュー50周年を迎えた記念すべき40作目の監督作が「クライ・マッチョ」だ。主演もイーストウッドが務めている。

アメリカのテキサス州。落ちぶれた元ロデオスターのマイク(クリント・イーストウッド)は、ある日、恩人の元雇い主から、別れた妻のもとにいる13歳の息子のラフォ(エドゥアルド・ミネット)をメキシコから連れ戻してほしいと依頼される。マイクはメキシコに旅立つが、行ってみるとラフォは母親に愛想をつかし、闘鶏用のニワトリ“マッチョ”を相棒にストリートで生きていた。やがてマイクはラフォとともにアメリカに向かうが、母親の仲間やメキシコの警察が2人を追ってくる。

原作はN・リチャード・ナッシュの小説。舞台は1979年のメキシコ。老人と少年の心の交流というストーリー自体は、「グラン・トリノ」あたりを連想させるが、とりたてて珍しい話ではない。むしろありがちなロードムービーだ。

だが、イーストウッドが演じるとそれだけで魅力的で味わい深い映画になる。何しろその存在感が圧倒的なのだ。

彼が演じるマイクは、かつて数々の賞を獲得しロデオ界のスターとして一世を風靡したものの、落馬事故をきっかけに落ちぶれて家族も事故で失い、いまは孤独な老人だ。映画の冒頭では仕事も首になる。

そんな彼が、元雇い主から別れた妻のもとにいる息子を連れ戻すように依頼される。半ば誘拐のような訳あり仕事だったが、マイクはそれを渋々引き受ける。

一方、彼が連れ戻そうとするラフォという少年も孤独だ。実父は早々に彼のもとを去り、母親はパーティー三昧で始終違う男と遊んでいる。そこにラフォの居場所はなく、彼はストリートで暮らす。唯一の友達はニワトリのマッチョだった。

というわけで、孤独な老人と孤独な少年の旅が始まる。2人(と1羽)でアメリカを目指すが、息子に執着する母親は追っ手を放ち、メキシコ警察も怪しい2人を追う。マイクにとっては、ただ義理を返すためだけの旅なのだが、これが悲壮感ゼロ。実に楽天的なのだ。

何が起きても鷹揚に構え、飄々とピンチを切り抜ける。皮肉たっぷりの会話でラフォを煙に巻き、彼の反発を軽くいなす。老いた自分を飾ることもなく、自然体で接する。カッコいい男は91歳になってもカッコいいのだ。その超然たるたたずまいが、それだけで人生を語っているのである。

母親の放った追っ手に捕まり、乗っていた車を盗まれ、それでも何とか旅を続けるマイクたち。その挙句に、車が故障してある町に予想外に長く滞在することになる。これがドラマの転機だ。

その町で風変わりな食堂の女主人と知り合い、彼女の孫たちと交流する。さらに、暴れ馬の調教に才を発揮し、ラフォともども楽しく過ごす。

しかし、まあ元ロデオスターだから馬を馴らすのがうまいのは当然だが、マイクときたらドリトル先生のように動物全般に詳しいのだ。そのため人々が列をなして相談に来る。おまけに手話まで習得している。「長い人生で身につけたのさ」という言葉も、そのへんの役者がしゃべったら嘘くさいが、イーストウッドが話すと説得力がある。

マイクに息子を連れてくるように依頼した父親には、実は別の思惑もあって……というあたりのラストの展開もほぼ予想通りだが、それでもラフォに「本当の強さとは何か」を語って、彼の背中を押すマイクの姿が印象深い。

イーストウッドの他にもラフォ役のエドゥアルド・ミネット、食堂の女主人役のナタリア・トラヴェンも好演。ついでに雄鶏のマッチョも素晴らしい演技を披露している。終盤ではアクションも披露。アカデミー助演「鳥」賞でもあげたいところだ。

とはいえ、やっぱりイーストウッドの魅力がいかんなく発揮された映画だ。あの年齢で馬に乗ったり、ダンスをしたり、キスシーンを演じるなどまだまだ元気。この分なら、またまた次回作も期待できるかも?!

 

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◆「クライ・マッチョ」(CRY MACHO)
(2021年 アメリカ)(上映時間1時間44分)
監督・製作:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッドエドゥアルド・ミネット、ナタリア・トラヴェン、ドワイト・ヨーカム、フェルナンダ・ウレホラ、オラシオ・ガルシア=ロハス
丸の内ピカデリーほかにて全国公開中
ホームページ https://wwws.warnerbros.co.jp/crymacho-movie/

 


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「ユンヒへ」

「ユンヒへ」
2022年1月9日(日)シネマート新宿にて。午後1時10分より鑑賞(スクリーン1/E-14)

~静謐な空気感の中から滲み出す、かなわなかった恋への思い

1995年の「Love Letter」は、中山美穂豊川悦司が主演した岩井俊二監督の劇場用長編映画第1作。タイトル通りに恋文から始まる、雪の小樽と神戸を舞台にしたラブストーリーだ。その「Love Letter」に影響を受けて作られた映画が、韓国映画「ユンヒへ」である。監督・脚本を手がけたイム・デヒョンの長編2作目にあたる。

シングルマザーのユンヒ(キン・ヒエ)は高校生の娘セボム(キン・ソヘ)と2人暮らし。ある日、セボムはユンヒ宛に届いた手紙を盗み見てしまう。それは日本の小樽にいるジュン(中村優子)という女性からの手紙で、彼女は20年以上も音信不通となっていたユンヒの初恋相手だった。セボムは母をジュンに会わせようと思い立ち、彼女が暮らす小樽への旅行を計画する……。

何と繊細で、静かで、穏やかな映画なのだろう。劇的な場面はほとんどない。登場人物が激情にかられることもない。彼らの胸に去来する様々な思いは、雪の小樽の静謐な空気感の中から滲み出してくるように描かれる。

物語の主人公は、言うまでもなくユンヒとジュンだ。2人は韓国で知り合った。ジュンは日本人の父と韓国人の母の間に生まれ、かつて韓国で暮らしていたのだ。しかし、その後両親が離婚し、彼女は父とともに日本に帰っていった。

その間、ユンヒは兄だけが大学へ行き、自分は進学を許されなかった。ジュンとの恋も家族によって引き裂かれた。それ以来、彼女は幸せを諦めて生きてきたように見える。兄の紹介で結婚した夫とも離婚し、今はセボムだけを生きがいに暮らしていた。

一方のジュンもまた、過去を封印して生きているようだった。獣医として動物病院を営みながら、喫茶店を経営する叔母(木野花)と2人で静かに暮らしていた。

この映画には、印象的なシーンがいくつもある。例えば、前半でジュンと叔母が静かに抱き合うシーン。セリフを極端にそぎ落とし、その行動だけで2人の心情を映し出す。実に繊細で温かなシーンだ。

ジュンは、今でも夢に見るというユンヒに宛てて手紙を書く。だが、その手紙を実際に出すことはなかった。ユンヒのもとに手紙を送ったのは、実は叔母なのである。叔母は手紙を出す勇気のないジュンに代わって、ユンヒに手紙を送る。

その手紙を盗み見たのがユンヒの娘セボムだ。彼女はその手紙に自分の知らない母の姿を見つけて、母を小樽に連れて行こうとする。そこには、日々疲れたように過ごす母を元気づけたいという気持ちもあったのかもしれない。

こうして途中から舞台は雪の小樽に移る。そこで登場する(冒頭も同じシーンから始まるが)小樽の海の車窓風景が実に美しい。本作には小樽の街の様々なスポットが登場し、ドラマの情趣を盛り立てている。

だが、小樽に着いてもユンヒはジュンに会う踏ん切りがつかない。一度だけ、彼女の家の前まで行くのだが、すぐに物陰に隠れて彼女を見送る。その表情には抑えようのない感情が湧き出ている。

ユンヒとセボムは宿に宿泊し、小樽を散策する。そこでセボムは時々単独行動をする。実は、彼女はこの旅行にボーイフレンドを呼び寄せていたのだ。そして、彼にジュンの周辺を探らせていたのである。

そんな若い2人の関係を中心に、この映画にはそこはかとない笑いも込められている。自由奔放に過ごす2人の恋愛模様は、はからずもユンヒとジュンの叶わなかった恋を浮き彫りにするかのようだ。

写真好きのセボムがユンヒから譲り受けたカメラや、ライター、夜空に浮かぶ満月なども効果的に使われる。

後半では、ジュンが知り合いの女性(瀧内公美)と食事をする場面がある。どうやら、その女性はジュンに好意を持っているようだった。だが、そこでジュンは言う。秘密は隠したままの方がいいと。

やがて転機が訪れる。セボムが機転を利かせて、2人をついに会わせるのだ。20年ぶりの再会。劇的にすればいくらでもできる場面だ。しかし、イン・デヒョン監督は小樽運河の美しい風景をバックに2人を静かに対峙させる。セリフはほとんどない。その後も2人で並んで歩くシーンを短時間映すだけだ。

これが絶品なのだ。思いがあふれるシーンをあえてセリフを絞ることで、見る者の情感を呼び起こす。それによって2人の心のひだがくっきりと見えてくる。何という名シーンだろう。雪の中で2人のピュアな思いが、さらに輝きを増す。

ここで描かれるのは女性同士の愛だが、それを超越して多くの人の胸に響くシーンだと思う。懐かしさ、過去に対する悔恨の思い、それでももう元には戻れない……。男女を問わず恋愛経験のある人なら、ついもらい泣きしてしまいそうだ。

それでも、この映画はそれでは終わらない。韓国に帰ったユンヒは新しい一歩を踏み出す。過去と向き合ったことで彼女は前を向くのだ。

ユンヒ役のキム・ヒエ、ジュン役の中村優子がいずれも素晴らしい演技だった。その佇まいから多くのことが伝わってきた。セボム役のキム・ソへ、叔母役の木野花も見事な演技だった。

ノスタルジックでちょっぴりほろ苦く、そして温かな気持ちになれる作品だ。同性愛やフェミニズムの文脈を越えて、多くの人の胸に響くのではないだろうか。

 

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◆「ユンヒへ」(MOONLIT WINTER)
(2019年 韓国)(上映時間1時間45分)
監督・脚本:イム・デヒョン
出演:キム・ヒエ、中村優子、キム・ソへ、ソン・ユビン、木野花瀧内公美、薬丸翔、ユ・ジェミョン
*シネマート新宿ほかにて公開中
ホームページ https://transformer.co.jp/m/dearyunhee/

 


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「決戦は日曜日」

「決戦は日曜日」
2022年1月8日(土)グランドシネマサンシャイン 池袋にて。午後1時10分より鑑賞(スクリーン8/D-5)

~困った二世候補と賢い秘書の奮闘。日本では珍しい政治風刺劇

「決戦は日曜日」は選挙を描いたコメディー。そう聞いても最初はイマイチ触手が動かなかったのだが、監督が坂下雄一郎と聞いて気が変わった。坂下監督の過去作「神奈川芸術大学映像学科研究室」と「ピンカートンに会いにいく」は、ユニークなコメディーでなかなか面白かったのだ。しかも、原作モノではなくてオリジナル脚本である。

ある地方都市で、地元に強い地盤を持つ衆議院議員・川島昌平が倒れ、選挙に出馬できなくなる。陣営は急遽、後継候補として娘の有美(宮沢りえ)に白羽の矢を立てる。だが、世間知らずで自由奔放な彼女は、次々に問題を起こす。有美の補佐役を務める私設秘書の谷村勉(窪田正孝)は、彼女に振り回されながらも、何とか当選を目指すのだが……。

今回もオリジナル脚本。しかもこの手の政治風刺劇は日本では珍しい。そんな中、まず笑いを生むのが素人二世議員の有美の行状だ。なにせこの人、政治の素人なだけでなく、予想以上の世間知らずなのだ。

演説原稿にあった「各々(おのおの)」を「かくかく」と呼んで、谷村らを凍り付かせたのはまだ序の口。「少子化対策はどうするのか?」と聞かれ、「結婚してるのに子供を産まないのは怠慢だ」など、とんでもない暴言を繰り出すのだから。やれやれ。

そんな調子だから、そこからは自然に笑いが生まれてくる。それはシニカルな乾いた笑いだ。日本のコメディーによくある過剰なギャグや小ネタなどとも無縁。思わずクスクスと笑ってしまう。いかにも坂下監督らしい笑いなのだ。

本作には、官民癒着や利権構造など現実の地方政界の実情も盛り込まれている。特に秘書たちが頼りにする後援会組織。有美は後援会の幹部たちを怒らせてしまう。それを必死になってとりなすのが谷村はじめ秘書たちだ。

とにかくこの谷村、若いがなかなかのやり手なのだ。「すみません」を連発して頭を下げたまま、結局は相手を思いのままに操るのである。

だが、そんな谷村を上回るのが有美だ。その傍若無人ぶりは、止まるところを知らずに暴走を重ねる。それをまた谷村が鎮火する。と思ったら有美がまた問題を起こす。まったく切りがないのだ。

それにしても有美を演じる宮沢りえも、谷村を演じる窪田正孝も、さもありなんと思う演技だ。実際にああいう二世議員や、その秘書がいそうだものなぁ。谷村が有美を正面から諫める場面が傑作だ。最初は「何でも言って」と鷹揚に構えていた有美が、次から次へと改めるべき点を挙げる谷村にブチ切れる。思わず苦笑してしまう場面である。

ついでに、内田慈(「ピンカートンに会いに行く」では主役)、小市慢太郎音尾琢真ら、その他の事務所スタッフもいずれもハマリ役だった。後援会の幹部、地方議員などと併せて、いかにも現実にいそうな人たちだ。

ドラマの転機は、有美の父が死にかけるところ。そこで早くも地方議員と秘書が入り乱れてバトルが始まる。結局のところ、有美が後継に選ばれたのは、彼らの思い通りに動くと思われたからで、父が後継指名していたわけではなかったのだ。

それが露見して有美はすっかり嫌になり、「落選する」と言い出す。初めは取り合わなかった谷村も、自分がやっていることがバカバカしくなり協力に転じる。「落選は簡単」と2人は炎上案件を次々に自作自演して支持率低下を図る。

終盤のハイライトは、炎上を仕掛けても支持率が下がらないところだろう。むしろ逆にコアな支持層が増える。このあたりに、今の政治状況がクッキリと見えてくる。いや、そもそも炎上しても、保守の支持票が固いからビクともしないという構図が見えてくるのだ。

本作では、有美の所属政党は「民自党」となっている。まあ言うまでもないが、これは自民党をパロッたネーミングだろう。そう思ってみると、ますます面白くなってくる。北朝鮮のミサイル発射をめぐって、陣営が一喜一憂するあたりも現実政治を反映していて面白い。投票率が下がると保守が有利になるというのも、現実の政治状況と同じだろう。

ラストは単純なハッピーエンドにはせず、ほろ苦さを漂わせつつポジティブな結末を迎える。

ことさらに政治に対してストレートなメッセージを伝えている映画ではない。政治に対する距離感はつかず離れず絶妙だ。だからこそ笑えるし、現実の政治状況を投影しているから今の世の中の困った点が露わになってくる。こういう映画が日本で作られるのは、素晴らしいことだと思う。

しかし、いつまで続くのかねぇ。こんな政治が。笑いのネタには事欠かないわけだが。

 

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f:id:cinemaking:20220111202710j:plain入場者プレゼントでもらったバッヂ

◆「決戦は日曜日」
(2022年 日本)(上映時間1時間45分)
監督・脚本:坂下雄一郎
出演:窪田正孝宮沢りえ赤楚衛二、内田慈、小市慢太郎音尾琢真、たかお鷹、高瀬哲朗、今村俊一、小林勝也原康義石川武、松井工、久松信美、田村健太郎、駒木根隆介、前野朋哉
丸の内ピカデリーほかにて公開中
ホームページ https://kessen-movie.com/

 


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「エッシャー通りの赤いポスト」

エッシャー通りの赤いポスト」
2022年1月7日(金)ユーロスペースにて。午後1時より鑑賞(ユーロスペース2/D-9)

園子温監督の原点回帰。凄まじい熱量を持った群像劇

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年最初の映画です。

取り上げたのは園子温監督の「エッシャー通りの赤いポスト」。園監督といえば、「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」「恋の罪」など数々の作品があるが、過激な描写も多い監督。そして最近では心筋梗塞で倒れ、死の淵まで覗いたものの見事に復帰。ニコラス・ケイジ主演の「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」でハリウッド進出も果たしている。

そんな園監督が、一転してデビュー当時のインディーズ映画のような世界に原点回帰した作品が「エッシャー通りの赤いポスト」である。

いわゆる群像劇だ。小林正監督(山岡竜弘)の新作映画「仮面」の出演者オーディションが行われる。演技経験の有無を問わずに募集したため、オーディション会場には、浴衣姿の劇団員たち、小林監督の親衛隊「小林監督心中クラブ」のメンバー、俳優志望の夫を亡くした若き未亡人(黒河内りく)とその家族、殺気立った訳ありの女(藤丸千)など、様々な事情を持つ人々が集まる。一方、脚本作りが難航している小林監督の前に、元恋人の方子(モーガン茉愛羅)が現れる。

前半は、映画のオーディション会場に集まった人たちそれぞれに焦点を当て、彼らが抱えた事情をあぶり出す。どれもユニークすぎる面々なので、自然にユーモアがあふれ出てくる。それを見ているだけで笑えるのだ。

そこでは郵便ポストが印象的に使われる。それぞれの応募者が、それぞれの思いを抱きながら応募用紙をポストに投函するのである。

もちろんオーディションの様子も描かれる。プロデューサーや監督の前で、参加者が演じ、自らを語る。そこで演じられる台本自体が突拍子もないのだが、それに加えて各人の自己アピールが爆笑ものだ。同時にただ面白いだけでなく、オーディションに賭ける参加者のピュアな姿が生き生きと映し出される。

主要キャストは、ほとんどが無名の俳優だ。園監督がワークショップを開催するにあたり、応募のあった697名から参加者51名を自ら選抜し、その全員が出演している。ベテラン俳優である藤田朋子田口主将もワークショップを通じて出演したという。

つまり、この映画はワークショップに参加した役者たちの現実と、オーディションを通して映画製作を描くという虚構が入り乱れるユニークな作品なのだ。そこがこの映画の魅力の一つになっている。

出演者たちの演技はどれも驚くほど存在感たっぷりだ。特に訳あり女を演じた藤丸千、若き未亡人を演じた黒河内りく、小林の元恋人を演じたモーガン茉愛羅の演技は特筆ものだ。彼らのキャリアは様々だが、すべて役どころにピタッとはまっている。また、過去の園作品に出演していた吹越満、渡辺哲、諏訪太朗らも脇を固めている。

中盤では、ベテランのエキストラの家に招かれた新人エキストラの姿を通じて、エキストラのやりがいと哀愁が描かれる。本作は園監督による映画愛の詰まった映画讃歌でもあるわけだ。

その映画讃歌には、陽ばかりではなく陰の部分も含まれる。それは“上の人”の横暴だ。小林監督は元恋人の助けもあり、新人俳優の発掘にまい進するが、エグゼクティブプロデューサーがそれに待ったをかける。彼はプロデューサーに対して「オーディションで選んだ無名俳優なんてダメだ。有名俳優を起用しろ」と要求してくる。

その一件がいかにも「映画業界あるある」なのだ。もしかしたら、実際にああいうことがあったのではないか。いやいや、園監督自身が体験したことなのかもしれない。などとつい勘ぐってしまう。

結局、有名女優はやらせでオーディションを受ける。それに対して小林監督は元恋人の意向もあり、新人を主役級に抜擢するのだが……。

その後の終盤の40分が凄いのだ。「仮面」の撮影風景を描くのだが、大量のエキストラ(その中にはオーディションに落ちた者もいる)と役者たち、監督やスタッフがごちゃ混ぜになって大暴れする。どつき合い、全力疾走し、川にはまり、彼らは思いのたけを叫ぶ。まさにカオス!!

そこには武骨なほどストレートなメッセージが込められている。「人生に立ち向かえ」「もっと自由になれ」。最後に挿入される渋谷のスクランブル交差点でゲリラ撮影したと思しき、藤丸千と黒河内りくのシーンが痛快すぎる。

そして観終わって思うのだ。たとえエキストラでも主役になれるのだ。自分の人生の主役は自分なのだと。この映画に込められた凄まじいエネルギーは、多くの観客の背中を押してくれるはずだ。本作は今を生きるすべての人に対する園監督の応援歌でもあるのだ。

群像劇といえばロバート・アルトマン監督の作品を思い起こすが、完成度やまとまりはともかく、熱量に関しては何百倍もそれを上回る。笑って、そして桁外れのエネルギーに圧倒されて、元気になれること請け合いの映画である。

 

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◆「エッシャー通りの赤いポスト」
(2020年 日本)(上映時間2時間26分)
監督・脚本・編集・音楽:園子温
出演:藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、小西貴大、上地由真、縄田カノン、鈴木ふみ奈藤田朋子田口主将諏訪太朗、渡辺哲、吹越満
ユーロスペースほかにて公開中
ホームページ https://escherst-akaipost.jp/

 


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「私はいったい、何と闘っているのか」

「私はいったい、何と闘っているのか」
2021年12月29日(水)シネ・リーブル池袋にて。午後2時35分より鑑賞(シアター2/G-4)

~一生懸命なのに空回り。中年男の笑って泣ける人情コメディー

年末といえばやはりコメディー。いや、そんなことはないか。まあ、とにかく今年最後に鑑賞したのは人情コメディー「私はいったい、何と闘っているのか」である。

お笑い芸人のつぶやきシローの同名小説の映画化。監督は「デトロイト・メタル・シティ」の李闘士男、脚本は坪田文、主演は安田顕とくれば、「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」と同じ顔ぶれだ。

ちなみに、「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」はGyao!で無料鑑賞したのだが、さすがにタイトル通りに「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしている」というネタ一発だけに、展開的に苦しいところはあるものの、コメディー映画として笑えるのは間違いない。というわけで、今回もコメディーの名手・李監督だけに相当に笑える映画になっている。

地元密着型のスーパー「ウメヤ」で働く45歳の伊澤春男(安田顕)は、スタッフの信頼も厚く、店長からも「この店の司令塔」と頼られる存在ながら役職はずっと主任のままだった。それでも家ではしっかり者の妻・律子(小池栄子)と3人の子どもたちに囲まれて幸せな日々を送っていた。そんなある日、店長が急死し、春男は職場や家庭から次の店長と期待されるが、新店長には本部から年下のさえない男が派遣される……。

この映画の特徴は、主人公の春男が妄想癖のある人物で、その脳内はいつも戦場と化していること。そのため劇中では大量のモノローグが繰り出される。ボケ、ツッコミ、心情吐露などありとあらゆる脳内の思考が、モノローグとして吐き出されるのだ。

確かにそれが効果を発揮しているところもあるのだが、個人的にはいくら何でも多すぎると感じた。わざわざモノローグにしなくても面白いし、十分に伝わるところも多い。もう少しモノローグを整理して、減らした方がいいと思ったのだが、どうだろうか。観ているうちに慣れてくるものの、最初はかなり耳障りだったのだが。

まあ、その点を除けば、よくできた人情コメディーだと思う。個性的なキャラクターによる言動が、さまざまな笑いを呼び起こしていく。なかでも主人公の春男は桁外れだ。冒頭で息子の少年野球のレギュラー争いのために「差し入れ作戦」を決行する。それは何と流しそうめん。しかし、せっかくの壮大なこの計画もうまくいかない。

そうかと思えば、長女(岡田結実)に恋人ができて家にやって来る場面では、父親の威厳を見せつけるべく「ナポレオン作戦」を決行する。だが、これもまた空回りに終わる。

ことほどさように、職場でも家でも一生懸命に頑張る春男だが、やることなすこと空回りしてしまうのだ。その姿が笑いを誘うとのと同時に、観客の共感を呼ぶ。特に春男と同世代の観客は、思わず「そうそう」「あるある」とうなずいてしまうのではなかろうか。

妄想と現実の狭間で一喜一憂を繰り返す春男を、安田顕が好演している。「愛しのアイリーン」をはじめ過去作でも印象的な演技を披露していたが、今作でも卓越した演技力とコメディーセンスを発揮して、観客を引き付ける。

中盤からは、店の品物が万引きされている可能性が浮上し、それに絡んで春男には新店の店長就任の話が舞い込む。しかし、それも思わぬことから頓挫する。

後半は、それまでの笑いとは一転。家族をめぐるドラマが描かれる。実は伊澤家にはある大きな秘密があり、それに絡んで舞台は沖縄に飛ぶ。もちろん笑いが消えることはないが、シリアスな色が強くなる。そして、終盤には春男と律子の過去が明らかになり感涙必至の場面が訪れる。

この後半に感じては、強引に泣かせにかかっている感は確かにある。とはいえ、それでも感動してしまうのだから仕方ない。李監督はじめ作り手の術中に見事にはまってしまったのである。

安田顕以外のキャストも振るっている。特に懐の広さを見せつけた妻役の小池栄子の演技は特筆もの。春男の2人の娘や太めの長男、春男がカレーを食べに行く食堂のおばちゃん役の白川和子もいい味を出している。

ついでに春男の部下役の女の人が妙な存在感があると思ったら、エンドロールを見てびっくり。なんとファーストサマーウイカだったのだ。全然気づかなかったなぁ。見事な変身ぶりだった。

何も考えずに楽しめる人情コメディーだ。笑ってちょっぴりホロリとできる。年末年始に楽しむにはちょうど良いのではないだろうか。

さてさて、これが2021年最後の映画レビューです。今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

 

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◆「私はいったい、何と闘っているのか」
(2021年 日本)(上映時間1時間54分)
監督:李闘士男
出演:安田顕小池栄子岡田結実ファーストサマーウイカ、SWAY、金子大地、菊池日菜子、小山春朋、田村健太郎、佐藤真弓、鯉沼トキ、竹井亮介久ヶ沢徹伊藤ふみお伊集院光、白川和子
テアトル新宿ほかにて全国公開中
ホームページ https://nanitata-movie.jp/

 


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「ただ悪より救いたまえ」

「ただ悪より救いたまえ」
2021年12月26日(日)グランドシネマサンシャインにて。午後12時30分より鑑賞(スクリーン1/D-4)

~殺し屋2人の情け容赦ないバトル。エグいけれど文句なしに面白い!

前回の「雨とあなたの物語」に続いて韓国映画をピックアップ。しかし、そのタッチはまったく違う。あちらは穏やかなほんわり系映画。それに対して、こちらは情け容赦ない暴力シーンを含むドキドキハラハラ感満載のノワール・アクション映画だ。

スゴ腕の暗殺者インナム(ファン・ジョンミン)は引退を決意し、最後の仕事として日本のヤクザ・コレエダを殺害する。ようやく平穏な日々が訪れると思った矢先、かつての恋人がタイのバンコクで殺害され、存在も知らなかった自分の娘が行方不明になったと知る。インナムはバンコクへ飛び娘の行方を追う。一方、インナムが殺害したコレエダの弟レイ(イ・ジョンジェ)が、兄の復讐を果たそうとインナムを狙ってバンコクに向かう。

目的のために手段を選ばないスゴ腕の殺し屋2人のバトルがドラマの中心だ。片方のインナムはどうやら元は国家機関の秘密工作員らしく、冷酷非情に邪魔者を殺し任務を遂行する。もう一方のレイは、兄の仇をとるという名目はあるものの、はっきり言って快楽殺人犯に近い。目の前の人物を闇雲に殺しまくる。しかも、残虐な手段で。

インナムを演じるファン・ジョンミンは、韓国映画ではおなじみの顔。「国際市場で逢いましょう」「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」「哭声 コクソン」など気のいいお兄ちゃんの役から、政府の工作員まで幅広い役柄をこなす。本作では寡黙な殺し屋を説得力充分に演じる。セリフは極端に少ないが、その心情はしっかりと伝わる演技だ。

そしてレイを演じるイ・ジョンジェは、「新しき世界」以来7年ぶりのファン・ジョンミンとの共演。ほとんどサイコパスに近い殺人鬼をケレンたっぷりに演じている。白装束に派手なメガネなどインナムとは対照的なそのたたずまいが、底知れぬ狂気を感じさせる。

この2人が無法地帯のバンコクの裏社会で暴れまくる。情報を引き出すために人を痛めつけ、待ち構えるワルを片っ端からなぎ倒す。2人の殺し屋が直接対決する場面は2度だけだが、それ以外も含めて全編がバイオレンス場面の連続だ。その迫力ときたら超ド級。刃物を使った格闘から、素手での格闘、銃撃戦に爆破シーン、そしてカーアクションと何でもござれだ。

インナムの元恋人が殺され、娘が誘拐された理由は金と人身売買のためだ。その背景にはタイのギャングの存在がある。特に子供の臓器を狙った人身売買はタイ社会の深い闇を感じさせる。それに対してインナムは必死に娘を探し出し、敵と対峙する。そこには彼の悔恨の情がある。元恋人と離れて彼女を見殺しにし、娘についてはその存在さえ知らなかったのだ。

そんな登場人物の心の揺れ動きを最低限押さえつつも、基本となるストーリーは直線的だ。インナムはひたすら娘の命を救おうとする。一方のレイはインナムに復讐することしか頭にない。すべてはそこに集約される。

とはいえ、ドラマのメリハリはついている。特に脇役の配し方が巧みだ。その中でも中盤以降、インナムの娘探しを助ける韓国人ニューハーフのユイ(パク・ジョンミン)がいい味を出している。金のために嫌々ガイドを引き受ける彼の存在が、ドラマにコミカルな味わいを与える。しかも、終盤では重要な役どころを演じる。ユイを演じるパク・ジョンミンの芸達者ぶりも見逃せない。

ちなみに、その他の脇役もなかなかの顔ぶれだ。インナムの元恋人役は「金子文子と朴烈(パクヨル)」のチェ・ヒソだし、日本のシーンでは豊原功補や白竜も出演している。

後半はインナムが娘を追い、そのインナムの命をレイが狙い、さらにギャングがそれを追いかけ、警察までもが絡んでくる(警察はギャングと癒着している)。ドキドキハラハラ感は後半になっても少しも失速しない。

監督は「チェイサー」「哀しき獣」などの脚本を手掛け、本作が長編2作目のホン・ウォンチャン。

映像も魅力的だ。アクション場面のキレの良さはもちろん、ザラついた感じの画面がいかにもノワール風で殺伐とした雰囲気を醸し出す。撮影監督は「パラサイト 半地下の家族」のホン・ギョンピョが務めている。

終盤にはインナムと娘が心を通わせる場面もある。心に傷を負った娘は言葉を発しないのだが、そんな娘に対してインナムが真摯に語りかける。寡黙な彼の言葉は娘の心にどう響いたのだろうか。

だが、やはり穏やかな結末は本作には似合わない。クライマックスは、インナムとレイの最終決戦だ。その結末がどうなるのかは伏せるが、壮絶なバトルが展開する。

そしてラストシーンのユイと娘の姿が、激しいこのドラマに何とも言えない余韻を残す。

まあ、とにかく凄まじいアクション映画だ。バイオレンス場面が多いので好き嫌いは分かれるだろうが、文句なしに面白い。観応えは十分。個人的には、ファン・ジョンミンとイ・ジョンジェのバトルだけでも観る価値があると思う。

 

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◆「ただ悪より救いたまえ」(DELIVER US FROM EVIL)
(2020年 韓国)(上映時間1時間48分)
監督・脚本:ホン・ウォンチャン
出演:ファン・ジョンミン、イ・ジョンジェパク・ジョンミン、パク・ソイー、チェ・ヒソ、白竜、豊原功補
*シネマート新宿、グランドシネマサンシャインほかにて公開中
ホームページ https://tadaaku.com/

 


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「雨とあなたの物語」

「雨とあなたの物語」
2021年12月19日(日)シネマート新宿にて。午後2時10分より鑑賞(スクリーン1/D-13)

~手紙のやりとりで心を通わせていく男女の穏やかで静かな物語

岩井俊二監督による「ラストレター」や、その中国版とも呼ぶべき「チィファの手紙」など、手紙を使ったドラマはいくつもある。特に携帯電話がまだ十分に普及していなかった時代には、手紙のやりとりが今とは比べられないほど大きな意味を持っていた。

韓国映画「雨とあなたの物語」も、手紙が重要な意味を持つドラマである。

2003年、ソウルの予備校に通う浪人生のヨンホ(カン・ハヌル)は、退屈でさえない毎日を送っていた。そんなある日、彼は小学生時代の記憶の中にいる友達に手紙を送る。それを病気の姉に代わって受け取ったのは、釜山で母と古書店を営むソヒ(チョン・ウヒ)。「質問しない、会いたいと言わない、会いに来ない」ことを約束して、ソヒは姉のフリをして返事を書くのだが……。

手紙のやりとりで心を通わせていく男女の物語を、時代を行き来しながら描いたラブストーリーだ。何よりも特徴的なのが、ドラマの中で時間がゆっくりと流れていくこと。難病ものの側面もあるが、けっして情感過多に陥ることなく、全編が穏やかで静かなタッチで描かれている。それがとても心地よい。韓国映画というと濃厚なイメージがあるが、こうした作品もコンスタントに生み出されている。

時代を行き来するといっても、中心的に描かれるのは2003年。というわけで、出始めたばかりの携帯電話やレスリー・チャンの自殺など、当時の世相も巧みにドラマに織り込まれている。

ヨンホの父が営む革工房、ソヒの家が営む古書店なども、ノスタルジックな雰囲気を醸し出す。のちのちヨンホが開く傘の工房も同様だ。そこで製作される傘が実に味わいがある(犬用の傘ばかり注文が来るとヨンホは嘆くが)。

ドラマの背景として、苛烈な受験競争や学歴社会といった韓国社会の問題点をさりげなく盛り込んでいるのも、いかにも韓国映画らしいところだろう。

ヨンホとソヒ以外の脇役も輝いている。ヨンホの父や兄、ソヒの母や古書店の常連客といった人々を巧みにドラマに配しているのだが、そんな中で最も目立つのがヨンホに好意を持つスジン(カン・ソラ)だ。おでん屋で出会い、いきなりヨンホに奢らせる。レスリー・チャンの自殺のニュースからいきなりモーテルにヨンホを連れ込み、海が見たいというヨンホをタクシーに乗せて海に連れていく。予測不能、天真爛漫。しかし、その心の奥底にはヨンホへの真摯な思いがある。

しかし、ヨンホはその思いに答えられない。それがわかった時のスジンの切ない表情がたまらない。けっして涙など見せない彼女だが、心ではきっと泣いているに違いない。

ヨンホがスジンにあと一歩踏み込めない理由は、言うまでもなくソヒの存在だ。姉を語ってソヒが彼に書く手紙が、なかなかに凝っている。お日様にかざさないと読めない手紙など、よくもまあ面白いことを考えつくものだ。おかげでヨンホはますます惹かれてしまうのである。

「質問しない、会いたいと言わない、会いに来ない」と決めたものの、両者が一度だけその禁を破って会おうとする場面がある。それがまた見事なすれ違いなのだ。こういう場面を描かせたら、韓国映画は本当にうまい。

ヨンホとソヒの手紙のやりとりは、両者の距離を縮めただけでなく、余命わずかと言われたソヒの姉にも好影響を与える。そんな中、やがてヨンホは「12月31日に雨が降ったら会おう」という提案をする。それはとても可能性の低い提案だった。

クライマックスは大いに盛り上がる。なにせヨンホは毎年12月31日にソヒを待つのだ。だが、雨はなかなか降らない。それでも、ついに奇跡は起きるのか!?

うーむ、なるほど良い映画なのだが何となく腑に落ちないものが……。そもそもヨンホはソヒではなく、彼女の姉を待っているのではないか。いや、ヨンホは彼女の姉が死んでいることを伝え聞いて知っているのだ。だとすれば、やっぱり待っているのはソヒか。それにしてはイマイチ、ロマンスとしては弱いのではないか。

などといろいろ考えていたら、何とまあいったんドラマが終わって、エンドロールの始まったそのさなかに驚きの事実が告げられる。えー! それってありなのか。まったく予想していなかったゾ。うーむ、しかし、たしかにドラマ的には納得。あのオチだったら、ちゃんと落とし前はついているものなあ。

ヨンホ役のカン・ハヌルは純朴な役柄が似合っている。彼が演じていたからこそ、手紙のやりとりで心を通わせていく設定が成立したのだろう。ソヒ役のチョン・ウヒもみずみずしい演技を見せている。

が、私的にイチオシはスジン役のカン・ソラ。いやぁ、私がヨンホだったら、完全にあっちに惹かれますなぁ。あのキャラには降参です。

観終わって温かな気持ちになれること間違いなし。心地よい余韻に浸れる映画です。

 

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◆「雨とあなたの物語」(WAITING FOR RAIN)
(2021年 韓国)(上映時間1時間57分)
監督:チョ・ジンモ
出演:カン・ハヌル、チョン・ウヒ、イ・ソル、カン・ヨンソク、イム・ジュファン、イ・ヤンヒ、イ・ハンナ、カン・ソラ
*シネマート新宿ほかにて公開中
ホームページ https://synca.jp/ametoanata

 


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