2025年7月7日(月)渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて「『七夕忌』PANTA三回忌追善ライブ」が開催された。

当日は、一昨年7月7日に亡くなった頭脳警察のPANTAを偲んで多くのミュージシャンが参集。ファンも数多く駆け付けた。ステージには昨年の一周忌ライブと同様、PANTAの写真と、使用したギターが並ぶ。ステージ背面には頭脳警察の旗とPANTAの肖像写真、そしてスクリーン。
そんな中、開演予定の6時を少し過ぎて司会のPANTAのマネージメントを担当していた田原章雄氏が登場。田原氏の会社の社名を、生前PANTAと話していた通りにマーラーズパーラーに変更することを宣言。今後もトリビュートアルバムなど、PANTA、頭脳警察関連のリリース等を行っていくと語った。
その後、田原氏は作家の伊東潤氏を呼び込んだ。伊東氏は現在「小説宝石」に病院船・氷川丸の小説を連載中。PANTAの母親も看護師として乗船していた船で、PANTAが「氷川丸」という曲を書き、ラジオのドキュメンタリー番組も制作された。小説化も生前のPANTAが熱望していたらしい。伊東氏は、PANTAとの出会いや執筆のきっかれ、連載の今後の行方などについて語った。
そして、いよいよライブ開始。最初に登場したのは、アップアップガールズ(2)の鍛冶島彩。PANTAが気に入って、「この子にロックを歌わせたい」と言っていたらしい。赤いチャイナドレス姿でギターを手にした鍛冶島は、黒い鷲(ほぼ頭脳警察)をバックに、PANTA作詞 鈴木慶一作曲 ジャッキー・チェン主演「大福星」日本版テーマ曲「幸運序曲」を力強くシャウトした。なかなかにカッコいいではないか。PANTAが見込んだだけのことはある。
続いて登場したのは、仲野茂バンド。仲野茂はパンタからもらったヘルメットを手に入場。病床でPANTAが書いた詩に曲をつけた「泣くんじゃねえ」「太陽」など3曲を熱唱。途中で曲の段取りを間違ったらしく、ギターの下山淳から蹴りを食らっていたが、いつも通りのロックスピリットとPANTA愛にあふれた演奏だった。しかし、このバンドでも頭脳警察の竹内理恵の存在感がどんどん大きくなっているなぁ。
その後、登場したのはアキマツネオ。マーク・ボラン追悼グラムロック・イースターなどで長らくPANTAと共演してきたミュージシャンだ。バックは頭脳警察(石塚俊明、澤竜次、宮田岳、樋口素之助、竹内理恵、おおくぼけい)が務め、PANTAが日本語詩をつけたモット・ザ・フープル「ALL THE YOUNG DUDES(すべての若き野郎ども)」に加え、PANTAがマーク・ボランに捧げた曲「極楽鳥」、そして「万物流転」というおなじみの2曲を披露。「ALL THE YOUNG DUDES」では、うじきつよしがコーラスに飛び入り参加した。
そのうじきつよしが次に登場。鈴木慶一プロデュースのPANTAの傑作アルバム「マラッカ」のタイトル曲を歌う。ラテンフレーバーあふれる曲で、頭脳警察のメンバーともどもノリのいい演奏を繰り広げる。曲の後に、息を切らしながら「何でアジアの歌なのにラテンなんだよ!」と笑って言っていたのが面白かった。そして、ここ最近自身のライブで良く歌っているという「時代はサーカスの象にのって」を演奏。PANTAもアコースティック、バンドなど様々なバージョンで演奏している曲だが、うじきの歌も素晴らしかった。心に響く演奏だった。
ライブも中盤。ここで野宮真貴が登場。ご存じピチカート・ファイブで大ブレイクしたシンガーだが、なんと今から44年前に発表した鈴木慶一プロデュースのデビューアルバムの収録曲「恋は水玉」を初披露(?)。PANTAが大好きな曲で移動の車でスタッフやメンバーに何度も聞かせたとか。実にキュートな曲でフレンチポップスが大好きだったPANTAの一面を垣間見た気分だった。さらに、こちらもPANTAが大好きで自らもよく歌っていたバルバラの「黒い鷲」を歌う。実は、この曲、私がPANTAを知る前から好きな曲だったのだ。のちにPANTAが歌うようになった時にはとても嬉しかった。
さてさて、この日、会場ではP.K.Oなるユニットのアルバムが先行発売されていた。PANTA KEIICHI ORGANIZATION。つまりPANTAと鈴木慶一のユニットだ。昔から何度かステージには立っていたのだが、ライブアルバムを除けばアルバムは出していなかった。しかし、PANTAが病を患った後に2人はアルバム制作に突入。先行シングルは出したものの完成には至らず、PANTSの死後、残りの楽曲を鈴木慶一が完成させて発売に至った。この日は、PANTAの歌声と同期する形でユーフォニウムのゴンドウトモヒコとともに鈴木慶一が、アルバムからの曲を2曲披露。かつて物議をかもしたポップセンスあふれるPANTAのアルバム「KISS」を彷彿させる上質の楽曲に浸ったのだった。最後にPANTAの写真に向かって「PANTA!」と紹介した鈴木慶一の表情が何とも言えなかった。
続いて登場したのは渡辺えり。そう、あの著名な女優である。頭脳警察のファンでPANTAとも「共演しよう!」と言いながら実現しなかったとのこと。昨年の一周忌ライブにも出演し、ロックナンバーをシャウトしたが、今回は頭脳警察をバックにPANTAが青江三奈のために書いた「霧の馬車道午前2時」と「ポートサイドナイトクラブ」という2曲の未発表曲を情感たっぷりに歌い上げた。青江を意識した衣装もこの日のために購入したという。さらに、衣装替えをしてからPANTAもよく歌った壮大な曲「ケサラ」を歌い上げる。さすがに現役で舞台に立つ女優だけに、その歌声、佇まいはオーラに包まれていた。
最後のパートは、関東やまと太鼓。8人(だっけ?)のメンバーが和太鼓を叩く。ド迫力の圧巻のステージだった。聞けば、この手の太鼓のグループ(と呼ぶのか?)でもトップクラスだとか。大会等でも上位に入賞しているようだ。そして、メンバーの中には数年前から参加したPANTAの長男・中村竜太氏もいる。少年時代にはベースを弾いていたが、その後は普通の会社員になったと聞いていた。それが巡り巡って父親の追善ライブに参加するとは。そして、頭脳警察、尺八の石垣秀基とともにPANTAの歌声に合わせて「乱破者」を演奏。親子共演が実現したのだった。演奏後、中村氏はPANTAのエピソードを披露。これがまあ爆笑のエピソードで開場は笑いに包まれたのだが、最後に「家にあまりいない父だったが、こうやってたくさんの人に慕われているのを見て、自分もいつか死んだ後にこうなりたいと思った」というようなことを語った(すいません。録音していたわけではないのでニュアンスです)。
中村氏の言葉通り、死んでなおこれほど多くのミュージシャン、ファンを集めるPANTAの凄さを改めて実感した次第。まあ、ホントはもっと長生きしてほしかったけどね。
来年からの七夕忌は渋谷ラ・ママに会場を移し、七回忌には再びこの会場で開催する(もう予約したらしい)という田原氏の言葉とともに盛大な追善ライブが終わったのだった。それまで元気でいようっと。