映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「黄金泥棒」

「黄金泥棒」
2026年4月9日(木)TOHOシネマズ 池袋にて。午前11時10分より鑑賞(スクリーン5/D-8)

~平凡な主婦が秀吉の金茶碗を盗む!?田中麗奈の魅力が炸裂する犯罪コメディ

 

今時は「金」が投資に最適らしい。とはいえ、貧乏な私にとって金は縁遠い存在だ。金のことなど何も知らない。そんな私に金のあれこれを教えてくれたのが映画「黄金泥棒」だ。

といっても、金のうんちく映画ではない。「夜を越える旅」「断捨離パラダイス」「津田寛治に撮休はない」などのオリジナル作品を手がける萱野孝幸監督が、監督・脚本を担当した犯罪コメディだ。

人生に退屈していた専業主婦の美香子(田中麗奈)は、ある日立ち寄った百貨店の黄金展で純金のおりんを盗んでしまう。夫に付き添われて返還し、謝罪に行き、何とか示談で済ませてもらった美香子。そんな美香子を営業担当の金城(森崎ウィン)が北海道旅行に誘う。そこで、時価100億円の「秀吉の金茶碗」の存在を知った彼女は、夫とその浮気相手と共に金茶碗を盗み出す計画を立てるのだが……。

何とも人を食った愉快な話である。序盤の美香子は受け身で生きている。劇中でテレビの再現ドラマで描かれる彼女の人生。幼い美香子は「特別な人になりたい」「私にしかできないことをする」という夢を語る。しかし、実際は大学時代に知り合った夫と結婚し、平凡な主婦の座に収まってしまった。優柔不断な夫に従って生きる人生。幸せではあるが、「特別な人」になったとは言い難い。金のおりんを盗んだのもそのせいか。

そんな彼女の前にもう一人の男性が現れる。SGC社員の金城。北海道旅行に美香子を誘う。別に不倫の誘いではない。仕事で出かけるが、同行する予定だった社員が行けなくなったという。しかし、見た目はバリバリのイケメンの金城が、にこやかに誘いかけるものだから、美香子は心穏やかではなかった。この金城、かなりのクセモノらしく、何かと美香子を利用しようとする。美香子は金城に振り回される。

だが、この旅行で、見るからに怪しげな日吉という男が、豊臣秀吉の金茶碗を持っていると知ったことから美香子の運命が変わる。

予定より早く帰宅した美香子は、夫がSGC社員の土岡と浮気している現場を目撃。それをきっかけに反転攻勢に出る。夫に「離婚するか、秀吉の金茶碗を盗むのに協力するか選べ」と迫り、さらに弱みを握った土岡も仲間に引き込む。

さあ、ここからは美香子の独壇場だ。これまで夫や金城らに主導権を握られ、あまりパッとしない存在の美香子が大胆に覚醒する。城のような建物で展示される秀吉の金茶碗。それをどうやって盗むのか。夫と土岡を操り、あれこれと策を練る美香子。

そして、いよいよ現場に到着。日吉によって特別に招かれた美香子と夫だが、なぜか夫は車いす姿。いったい彼らは何を考えているのか。

ここからの詳細は観てのお楽しみというところだが、とにかく奇抜な作戦の連続だ。ハラハラドキドキの場面も用意され、最後はドローンまで登場。よくもまあ、ここまでやるものだ。萱野監督は、この手のコメディのツボを心得ている。あまりにも奇抜な展開の連続なのに、やりすぎ手前で寸止めするさじ加減も絶妙。

美香子は犯罪を通じて憧れの「特別な人」になる。それは同時に男どもへの反撃でもある。夫や金城、最低な男どもに振り回され、それに大人しく従っていた美香子が犯罪によって豹変し、男どもに反撃の一撃をくらわすのだ。この構図が面白くて痛快! 

この話は実話に着想を得て考えられたらしい。とはいえ、話の大半は創作だろうし、強引さは拭いようもない。それでも、テンポの良い描き方をしているし、主人公の自己実現欲求をドラマの背景に据えているので、観ている間はそれほど気にならない。おかげで十分に楽しめた。

しかし、まあ、何と言っても田中麗奈の演技が素晴らしい。シリアスな役もいいけれど、こういう役も似合うなぁ。前半の生真面目で愛嬌のある演技があるから、後半の爆裂ぶりがさらに際立つ。彼女の魅力がはじけまくっている映画だ。

ちなみにSGCという会社は本物の会社で、本作に全面協力しているから、劇中に登場する金の工芸品は本物だとか。そういう意味でも、金に縁遠い私には楽しい映画なのであった。

◆「黄金泥棒」
(2026年 日本)(上映時価館1時間52分)
監督・脚本:萱野孝幸
出演:田中麗奈、森崎ウィン、阿諏訪泰義、石川恋、岩谷健司、中村祐美子、勝野洋、宮崎美子
*TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開中
公式ホームページ https://ougondorobo.jp/
(外部のサイトに移動します。外部のサイトの内容については責任を負いませんので)

 


www.youtube.com

 

*はてなブログの映画グループに参加しています。よろしかったらクリックを。

 

*にほんブログ村に参加しています。こちらもよろしかったらクリックを。

にほんブログ村 映画ブログへ にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村