「ツイスターズ」
2024年8月5日(月)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時55分より鑑賞(スクリーン6/C-7)
~竜巻の恐怖をリアルに体験。スリリングな冒険活劇
久しぶりに超メジャーなエンターティメント映画でも観に行くか。というので、「ツイスターズ」を鑑賞。
この映画、1996年にスティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務め大ヒットした「ツイスター」の続編。そんな昔のことはよく覚えておらず、はたして鑑賞したのやら記憶が曖昧。しかし、心配はご無用。前作を観ていなくても、まったく問題ないのであった。
竜巻をネタにしたアクション・アドベンチャー超大作だ。冒頭は、主人公のケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)たち学生仲間5人が、竜巻を退治すべく行動する場面。彼女たちに悲壮感は全くなく、見た目には楽しそうだ。だが、竜巻の威力は想像以上でその前では彼女たちは無力だった。結局、ケイトの恋人を含む3人が命を落とし、ケイトとハビ(アンソニー・ラモス)だけが助かる。
それから5年後、ケイトはニューヨークで自然災害の発生を予測する仕事に就いていた。5年前の出来事は彼女にとって今もトラウマで、時々悪夢にうなされていた。そんな中、ケイトは故郷オクラホマで巨大竜巻が発生しているというニュースを目にする。さらに、突然彼女の前にハビが現れ、オクラホマで竜巻対策チームに参加するように懇願する。最初は心の傷から断るケイト。しかし、再三の要請に1週間だけチームに参加することを了承する……。
本作の魅力は何と言っても竜巻の襲来場面だ。それは何度かやってきて、登場人物に襲いかかる。もちろん竜巻自体は特殊効果を使っているのだろうが、実際にオクラホマで撮影されたという映像が効果的。ケイトたちの車両が険しい大地を疾走し、竜巻と追いつ追われつのスリリングな戦いを繰り広げる。
車の外で竜巻に襲われる場面も壮絶だ。ものすごい風にあっさり吹き飛ばされる人間たち。建物もまるで模型のように簡単に空に舞い上がる。そして、襲来後のがれきの山。前から聞いてはいたが、これほど竜巻の威力はすさまじいものかと驚愕。あまりにもリアルで恐ろしい。
竜巻を追う構図も面白い。一見、正義の味方のようなハビたちのチームが、最新式の特殊車両と装置を駆使して竜巻を追跡する。それに対して、いかにも悪役風の竜巻チェイサーでユーチューバーのタイラー(グレン・パウエル)らがやってきて、ハビたちのチームを邪魔しながら竜巻を追う。この正義VS悪の対決が、やがて逆転の図式となり、ケイトの行動にも変化をもたらす。
アクション・アドベンチャー映画とはいえ、繊細な感情描写も目立つ。特にケイトがトラウマを抱えて苦しむシーンはなかなかのもの。このあたり、「ミナリ」のリー・アイザック・チョンが監督だというのも影響しているのだろう。
そのケイトとタイラーのドラマも見もの。トラウマを乗り越えて使命感と好奇心を抱えて竜巻に挑もうとするケイト。一見軽薄なカウボーイ風(ロデオ大会の場面も出てくる)だがその実ナイスガイのタイラー。ケイトの母親も加わって織り成す共鳴のドラマは、人間ドラマとしてそれなりによく描けている。
まあ、よく考えれば「あれ?」と思わないところがないでもない。例えば、ハビたちのチームに出資しているスポンサーは何が目的なのか? 竜巻被害地の地上げのカムフラージュ? イメージ戦略? うーむ、よくわからん。などという細かいことは、一切無視して楽しむのがよし。
終盤は、竜巻との対決が最高潮を迎える。ケイトとタイラーが共闘して竜巻に立ち向かう。さらにそこにハビも加わる。
ここでは2つの場面が並行して描かれる。1つは映画館に避難した人々を竜巻が襲う様子。その映画館ではなんと「フランケンシュタイン」が上映されている。これは、どうやら「ツイスター」で「シャイニング」上映中のドライブインシアターが竜巻に吹き飛ばされた場面を意識したものらしい。
そして、もう1つの場面はケイトが単身車を操り、決死の覚悟で竜巻退治に挑むところ。詳しいメカニズムはよくわからないが、とにかくハラハラドキドキの場面だ。車に積んだ物体が空中に待っていく映像は圧巻。そして最後にはもちろんカタルシスが待っている。
ケイト役は「ザリガニの鳴くところ」のデイジー・エドガー=ジョーンズ。タイラー役は「トップガン マーヴェリック」のグレン・パウエル。どちらも魅力的な演技だった。
前作「ミナリ」で一躍注目を集めたリー・アイザック・チョン監督。次回作も同じような作品を期待されただろうが、自伝的要素の濃い作品だっただけに、それはなかなかハードルが高かったに違いない。それだけに、まったく違うタイプのエンタメ作品に出会えたのは幸運だったかもしれない。しっかりとその任を果たしている。
文句なしに面白くて怖い冒険映画。登場人物とともに竜巻をリアルに体験できる。観るなら配信ではなく映画館で観るべし。急げ劇場へ!
◆「ツイスターズ」(TWISTERS)
(2024年 アメリカ)(上映時間2時間2分)
監督:リー・アイザック・チョン
出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ、グレン・パウエル、アンソニー・ラモス、モーラ・ティアニー、ブランドン・ペレア、ダリル・マコーマック、サッシャ・レイン、キーナン・シプカ、ニック・ドダーニ、ハリー・ハデン=ペイトン、トゥンデ・アデビンペ、ケイティ・オブライアン、デヴィッド・コレンスウェット、ジェームズ・パクストン
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