映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「ゾンビランド:ダブルタップ」

ゾンビランド:ダブルタップ」
ユナイテッド・シネマとしまえんにて。2019年11月22日(金)午前10時50分より鑑賞(スクリーン2/D-8)

~おバカで爆笑の唯一無二のゾンビ映画。まさかの10年ぶりの続編登場!

いつもいつも真面目な映画ばかり観ているわけではない。時にはおバカな爆笑映画だって観たくなるのだ。映画好きだもの。

というわけで、「ゾンビランド:ダブルタップ」(ZOMBIELAND: DOUBLE TAP)(2019年 アメリカ)を鑑賞。ハリウッドもネタ切れ気味なのか、「今さら」感がある続編が突然登場したりする。本作も、2009年にヒットした「ゾンビランド」の10年ぶりの続編だ。しかし、「今さら」感とは無縁。これがまあ前作に負けないほど面白い映画なのだ。

ゾンビランドというタイトルからもわかるように、ゾンビ映画である。ゾンビ映画とくればコワ~い映画を連想するが、前作に引き続き今作も爆笑のゾンビ映画だ。最初に映るコロンビア映画のオープニングロゴ。コロンビアレディが襲い掛かるゾンビを殴り倒す。早くもここから笑いの波状攻撃が始まる。

いわば疑似家族の4人が、ゾンビと戦ってサバイバルを図るドラマだ。爆発的なウィルス感染によって地球上の人類がゾンビ化した世界で、コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)、タラハシーウディ・ハレルソン)、ウィチタ(エマ・ストーン)、リトルロックアビゲイル・ブレスリン)の4人は、コロンバスが作り上げたルールに従って生き延びてきた。

そして10年経った今、彼らはホワイトハウスを根城に、さらなる進化を遂げたゾンビたちと戦っていた。そんな中、コロンバスはウィチタへプロポーズする。一方、年頃のリトルロックは、父親のように過保護なタラハシーに反発心を募らせていく。

本作の笑いの源泉は、何といっても登場人物の個性的なキャラにある。「生き残るための32のルール」を実践する引きこもり青年のコロンバス、爆裂暴力オヤジのタラハシー、美人だけどけっこうキツいウィチタ、その妹のリトルロック。彼らのユニークな言動が笑いを誘う。同時にギャグやパロディも満載。おバカで、ちょっとお下品な笑いが炸裂する。

今回は新キャラも登場する。ウィチタがリトルロックと家を出た隙に入り込んできたマディソン(ゾーイ・ドゥイッチ)だ。ピンクの服に身を包み、頭空っぽのキャピキャピ女。これまた強烈キャラで周囲を混乱させる。

やがて一行は、ヒッピー男と一緒にどこかに消えたリトルロックを捜すためにホワイトハウスを旅立つ。そこからは爆笑のロードムービーになる。彼らがたどり着いたのは、エルヴィス・プレスリーの本拠地メンフィスのグレイスランド。そこでも新キャラが登場する。粋でカッコいい女性ネバダロザリオ・ドーソン)だ。

そして驚くべきことに、独自のルールを実践する青年と爆裂暴力オヤジというコロンバスとタラハシーそっくりのコンビまで登場する。

ちなみにコロンバスのルールは、今回、32から72にまで膨れ上がっている。「有酸素運動」「必ずシートベルト」などの従来のルールに加え、「二度撃ち」は「九度撃ち」になり、「ジップロック」「ウェットティッシュ」など、どうでもいいようなルールまで披露される。それらのルールを記したロゴを画面のあちこちに配置するスタイルも健在だ。

グレイスランドでは、タラハシーによるエルヴィスの物まねも見もの。純白のジャンプスーツを着て、なかなかの歌を聞かせてくれる。そして相変わらずコロンバスやウィチタと、どうでもいいようなやり取りを繰り広げる。そのあたりもまったく笑いが途切れない。

最後に彼らが向かったのは、ヒッピーのコミューンであるバビロンという場所だ。そこは武器を持って入ることができないところ。ヒッピーらしくラブ&ピースの暮らしなのだ。そこでリトルロックと再会したのを機に、タラハシーはいったん一人で旅立つのだが、新種のゾンビの大量襲来を知り、バビロンに戻ってくる。

この新種のゾンビは、なんと「T-800」。言うまでもなく「ターミネーター」シリーズに登場するアンドロイドのパロディだ。その他にも、IQが高いホーキングなどユニークな新種ゾンビが登場する。

クライマックスは迫力のバトル。本作はアクションも大きな魅力だ。冒頭近くのホワイトハウス前でのバトルをはじめ、何度かそうしたアクションシーンが登場する。クライマックスのバトルは、武器を使えないだけに、その中でもかなりのスリリングさ。タラハシーが絶体絶命に追い込まれる場面もある。

そこで意外な助っ人が突然登場するなど都合よすぎの展開もある。それどころか、中盤ではいったんゾンビ化して殺されたはずの人物が再登場するなど、「そんなバカな」というシーンも目立つ。だが、それもまた愛嬌。ここまで堂々とやられたら、ただ笑うしかないのである。

ラストの大団円は、いかにもこの映画らしいところ。小難しいテーマなど本作には無用だ。とはいえ、コロンバスの独白によって「ホームとは場所ではなく、人なのだ」とさりげなく味わい深い結論を導き出すあたり、実に小憎らしいではないか。

もちろんゾンビ映画らしく血しぶきが舞い、首が吹っ飛び、顔がぐしゃりと潰れる凄惨な場面もある。登場人物が大量にゲロを吐くあたりは完全なB級オバカ映画の世界。同時にアクション映画であり、ロードムービーでもある。そして何よりも圧倒的な笑いがある。とにかくお楽しみ要素がテンコ盛りの映画なのだ。

いったんドラマが終わっても、席を立つのは厳禁だ。エンドロールには楽しい仕掛けが待っている。前作で本人役で出演し、殺されてしまったビル・マーレイの登場だ。何をやっているかといえば……猫かよッ!!

前作に出演したウディ・ハレルソンジェシー・アイゼンバーグアビゲイル・ブレスリンエマ・ストーンが、そのまま再登場しているのがうれしいところ。それなりにみんな変化しているが、一番変わったのはやっぱりアビゲイル・ブレスリンだろう。可愛らしい少女がすっかり大人に。

そんな役者たちは、この10年でそれぞれオスカー級に成長したが、監督のルーベン・フライシャーは「ヴェノム」でメジャーになり、脚本のレット・リース&ポール・ワーニックは「デッドプール」で売れっ子になった。それが再結集したのだから奇跡のようなものだろう。

また続編ができないかなぁ~。

 

f:id:cinemaking:20191123221924j:plain

◆「ゾンビランド:ダブルタップ」(ZOMBIELAND: DOUBLE TAP)
(2019年 アメリカ)(上映時間1時間39分)
監督:ルーベン・フライシャー
出演:ウディ・ハレルソンジェシー・アイゼンバーグアビゲイル・ブレスリンエマ・ストーンロザリオ・ドーソン、ゾーイ・ドゥイッチ、ルーク・ウィルソン、トーマス・ミドルディッチ
*TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開中
ホームページ https://www.zombie-land.jp/