映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「zk 頭脳警察50 未来への鼓動」(再鑑賞)

初号試写にて鑑賞した「zk 頭脳警察50 未来への鼓動」(2020年 日本)が、いよいよ7月18日(土)から新宿K's cinemaにて公開となったため、劇場にて再鑑賞してきた。

*2020年7月20日(月)新宿K’s cinemaにて。午後12時より鑑賞(自由席/整理番号14番)。

ちなみに初号試写時の感想は過去記事を参考にしてください。

 

cinemaking.hatenablog.com

 

鑑賞したのは平日昼間の上映回。イベント付でもないし、どうせガラガラだろうと思ったら失礼しました。けっこうな観客たち。さすがわが愛する頭脳警察だけあるわい。それにしても、平日昼間に劇場へ駆けつけられる皆さんはいったい何者? いや、それを言ったら自分も同類か(笑)。

何にしても再鑑賞した感想は、とにかくぎっしりと中身が詰まったドキュメンタリー映画だということ。なにせ頭脳警察というバンド結成から50年。いやいやPANTAとTOSHIというメンバー2人の生誕からは70年の時間をギュッと凝縮して描いているのだ。1時間40分の映画だが、3時間ぐらいの映画を観たような気持になってしまった。

とはいえ、全く飽きることはなかった。登場するエピソードの多くは、熱心なファンにとっては周知の事実。にもかかわらず、興味を失うことはない。まして、頭脳警察初心者などファン以外にとっては、興味深い話ばかりだろう。

前回観た時もそう感じたのだが、様々な人々の証言が的確に構成されている。例えば、加藤登紀子は69~70年頃の時代を語り、浦沢直樹は80年代のカウンターカルチャーを語る。そうした時代の息吹が頭脳警察およびPANTA、TOSHIの活動の背景として描かれる。

同時に、頭脳警察に関する証言もツボを心得ている。例えば、宮藤官九郎に「(PANTA、TOSHIの)2人の関係に興味があります」と語らせて、後々その関係性を明らかにしていく。そのあたりの展開の巧みさにも感心させられた。

本作にナレーションはない。その代わりにテロップが随時挟まれる。そのテロップも実によくできている。ユーモアも込めながら過不足なく情報を提示して、観客の理解の助けにするとともに、スムーズに映画を進行させる。楽曲の歌詞の提示の仕方も見事なものだ。編集も担当した末永賢監督のワザが冴えわたっている。

楽曲の取り上げ方も秀逸だ。ファンから見れば、「あれもこれも」となるだろうが、頭脳警察の本質に迫るにはベストな選曲といえるだろう。ちなみに、個人的にはヘルマン・ヘッセの原詩に曲を付けた名曲「さようなら世界夫人」に込められた意味が、この映画でよりクッキリと見えてきた。そんな発見もあった。

ラストのコロナ禍を意識した展開とともに流れるエンディングテーマ「絶景かな」が、今も現在進行形の頭脳警察を意識させる。PANTA自身がインタビューで、「自分にとっての『What A Wonderful World』(ルイ・アームストロング)」と語っているのに得心。そしてPANTAが最後に語るように「初期初動」のまま動き続ける彼らが爽快だ。自分もあんなふうに生きたいものだと、つくづく思った再鑑賞である。

あと2週間程度上映され、その後は全国各地で公開となるようなので、よろしかったら劇場へ。エンドロールの「製作協力」に私の名前も出てきます。

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