映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「変な家」

「変な家」
2024年3月27日(水)TOHOシネマズ日本橋にて。午後6時50分より鑑賞(スクリーン9/D-10)

~変な家というよりは変な一族の話。怖くなくてむしろ笑っちゃいました

何だか知らんが、月に一度3~4人が集まって映画を観る会を開いている(本当はその後に飲むのが目的ではないかと疑っているのだが……)。基本的に映画選びは人に任せているので、私の趣味とは違う作品が選ばれることも多い。今月選ばれたのは「変な家」だ。

違和感だらけの変な間取りの家を追ったYouTube動画をもとに、動画制作者・雨穴が書いた小説「変な家」を映画化したらしい。

オカルト専門の動画クリエイター雨宮(間宮祥太朗)は、マネージャーから引っ越し予定の一軒家について相談を受ける。それは変な間取りの家だった。そこで雨宮はミステリー愛好家の設計士・栗原(佐藤二朗)に間取り図を見せて意見を求める。次々と浮かび上がる奇妙な違和感から、栗原はある恐ろしい仮説を導き出す。そんな中、変な家の近くで死体遺棄事件が発生。雨宮は事件と家の関連を疑い、一連の経緯を動画で投稿する。すると、動画を見た宮江柚希(川栄李奈)という女性から、この家に心当たりがあるという連絡が入るのだが……。

オカルト専門の動画クリエイター雨宮が、動画配信をしている場面からドラマが始まる。雨宮に対して、マネージャーは最近再生回数が少ないと告げる。

何だ? このド下手な演技をするマネージャー役の役者は? DJ松永? CreepyNutsの?

だってセリフを棒読みなんだもの。一気に観る気が失せましたよ。「まあ、でも、この先は面白くなるのかもしれない」と気を取り直して鑑賞続行。

マネージャーは雨宮に変な間取りの家について相談。雨宮は知り合いの設計士、栗原に意見を求める。栗原はその家は「殺人を実行するための家」ではないかと言い出したのだ!

これはもうホラー映画になるしかないでしょう。その通り、血のりのついた能面をかぶった何者かが雨宮たちを襲うという恐怖の場面が登場。しかしなぁ、単発の怖さはあるけれど長続きしないのよ。ほら、Jホラーの魅力って、そのものズバリの怖さよりも、不穏さや不気味さがズンズン積み上がっていくところに特徴があるでしょう。それがまったくないから物足りないんだよなぁ。

その後、雨宮や柚希は問題の変な間取りの家に侵入。そこでは、雨宮が撮影する動画カメラの映像を繰り出すなど、それなりの工夫もあってなかなかのスリルが味わえます。

しかし、柚希の母親(斉藤由貴)が出てくるあたりから、何だかドラマは変な方向に走り出す。

え? これってそういう話だったの? 変な家じゃなくて、変な家族、あるいは変な一族、もしかしたら変な村の話じゃん。

というわけで、ドラマは柚希の家族模様から、その本家筋の物語に発展する。そして、絵に描いたように怪しい本家の家族たちが登場。ステレオタイプなその造形に、怖いどころか思わず笑ってしまいました。

おまけに当主が女中を妊娠させて、家族がよってたかっていじめるなんて、横溝正史の小説に出てきそうな話。これって「犬神家の一族」かよ!

しかしなぁ、奇怪な風習というか、儀式というか、それが現代にも残っているとは、どう考えても納得できん。あんなことしてたら、とっくに警察に捕まっているだろ。

呪われた村といえば、何といっても韓国映画「哭声 コクソン」を思い起こすのだが、あれほどの怖さや不気味さもないし。

終盤は本家の家でのバトル。刀はもちろん、猟銃まで出てきてあわやの場面の連続。ここはまあ、それなりにハラハラします。

その後もすったもんだあって、最後は親子の情愛を訴えるかと思ったら、雨宮の家が変だという話になり、挙句は平穏を手に入れたはずの家族が実は……という展開。だらだらと締まりのないエンディングで、「まだ、あるのかよ!」と叫びそうになったのである。

いやぁ、怖いはずの映画がそれほど怖くもなく、あまりのやり過ぎ感に笑ってしまいました。そういう意味で逆に楽しめたのかも。

この映画で私が感心したのは美術。変な家の造形はもちろん、本家筋の儀式にまつわるグロテスクなアイテムなど、手の込んだ作りで感心した次第。美術さんに拍手!

さらに加えてこの豪華キャストよ。間宮祥太朗は相変わらずいい男だし、佐藤二朗は相変わらずヘン。川栄李奈は何でもこなすし、瀧本美織もいい味を出している。しかし、斉藤由貴はどう考えても無駄遣いだろ。あんなメチャクチャな役をやらせんでもいいものを。それにしても根岸季衣高嶋政伸石坂浩二はどこに出ていたんだ? あ、もしかしたらあの本家筋の人々かしら……。

うーむ、日本にもラジー賞ことゴールデンラズベリー賞(最低映画賞)があったら受賞確定か!? でも、まあ、何も考えずにポップコーン片手に楽しむには、十分な映画でしょう。天下の東宝がこんなB級テイスト満載の映画を作るのも面白い。

◆「変な家」
(2023年 日本)(上映時間1時間50分)
監督:石川淳一
出演:間宮祥太朗佐藤二朗川栄李奈長田成哉、DJ松永、瀧本美織根岸季衣高嶋政伸斉藤由貴石坂浩二
*TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開中
ホームページ https://hennaie.toho.co.jp/

 


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