映画貧乏日記

映画貧乏からの脱出は可能なのだろうか。おそらく無理であろう。ならばその日々を日記として綴るのみである。

「はちどり」再鑑賞

どんなに素晴らしいと思った映画でも、二回目以降はDVDや動画配信で観るぐらいで、劇場で二度同じ映画を観るということはあまりない。それでも年に1~2本程度は、どうしてももう一度劇場で観たいと思う映画がある。

韓国映画「はちどり」もそんな映画だった。6月25日(木)にユーロスペースで鑑賞した後、あまりの素晴らしさもう一度観たいと強く思った(その際の感想は過去記事を参照してください)。

 

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そして先日の7月13日(月)にオープン間もないTOHOシネマズ池袋で、ようやく二度目の鑑賞をすることができた(午後1時より鑑賞 スクリーン5/C-8)。ちなみに本作は、その評判の高さから上映館が拡大している。

再鑑賞して思ったのは、この映画の完璧さだ。前回は気づかなかった細かなディテールまで含めて、実に見事に構成されている。それでいて、そこに計算高さを感じることはない。キム・ボラ監督はじめスタッフと役者たちが、考えに考えて練り上げた結果、自然に完璧な映画に仕上がったのだろう。

特に感心したのは余白である。この映画には明瞭なセリフや明確な行動だけでなく、セリフとセリフの間や人物の表情など、観る者にとって余白の部分がたくさんある。それが観客に様々なことを想起させ、ドラマをより深いものへと導いてくれる。

そうした余白が、二度鑑賞することによってさらに多くのことを物語り、登場人物の言動以上に彼らの心理をリアルに伝えてくれるのだ。なかでも、主人公ウニの心の内が手に取るように伝わってきて、時には静かに、時には激しく心が揺さぶられた。

終盤、ままならない思いを全身で表現するウニに届いたヨンジ先生からの贈り物。その後に起きた惨事をめぐる様々な出来事。そして、「世界は不思議で美しい」と語るヨンジ先生の手紙。それを体感したウニのラストの表情を長回しで捉えたラストのショット。それらが今も頭から離れない。きっとこれからも心に残り続けるだろう。それほど素晴らしい映画だった。

ちなみに、“パンフを買うお金があればもっと映画を観る”派の自分は、映画のパンフを買うことはめったにないのだが、今回は思わず購入してしまった。そこに掲載されたキム・ボラ監督のインタビューには、「なるほど」と思わせられることが多かった。

あまり期待を持たせすぎるのもなんですが、まだ観ていない方はぜひ!

 

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パンフ購入(800円也)